「一年の中で一番昼が長い日」夏至にまつわる珍名さん
珍名さん万歳(51)
令和3年の夏至(げし)は6月21日である。夏至とは、二十四節気の一つで、「一年の中で一番昼が長い日」である。日本の夏至では、全国各地で様々な行事が催される。
代表的なものとして、三重県伊勢市二見浦の二見興玉神社で行われる夏至祭がある。これは、夏至になると神社の近くにある夫婦岩の間から朝日が登ることを受け、禊(みそぎ)が執り行われる。
また、一部の地域では夏至に蛸(たこ)や茗荷(みょうが)、餅などを食べる風習がある。古より、人々は太陽(日差し)から様々な恩恵を受けていたことに感謝の念を持っていたと思われる。
実は、「夏至(げし)」という名字が石川県に存在する。この名字は数軒と大変珍しい。由来は、季節を表す事象と思われる一方、職業であると考えられる。奈良時代に、荘園で働く下司(げし)という職業があった。これが由来で「下司」という名字が生まれ、その後「下司」から「夏至」に変えたと考えられる。「下司(げし)」は全国に約350軒存在し、高知県や福岡県に多い。他にも、「げし」と読む名字には、「外司」や「芥子」などがある。いずれも「下司」から変えたと考えられる。
夏至とは反対に、「一年の中で一番昼の短い日」を冬至(とうじ)と言うが、「冬至(とうじ)」という名字も石川県に約10軒存在している。実は、「とうじ」と読む名字も「東司」「唐司」「当時」「杜氏」「東地」「藤次」「通事」などがある。由来は、必ずしも季節の「冬至」ではなく、これらの名字の中からとある理由で変わったことが考えられる。