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インフルエンザと比べて子どもが発症しない理由から見る 新型コロナ“オミクロン変異株”感染防止対策


 12月に入り冬も本格化。世界保健機関(WHO)は11月29日、新型コロナウイルスのオミクロン変異株によって、世界中で感染者が急増する危険性が高まっていると警告を発した。一部地域では影響が深刻になり得るとしているが、日本でも年明けか2月に第6波はまぬがれないと多くの科学者が予測している。

 コロナ禍のメディア報道について評論を書く元芸人の作家・松野大介氏が、今回は科学者の見解からコロナ予防の新対策を提案。


国内では2例目となる新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」は、これまでの変異株と比べても異例といえる変異の多さに特徴がある。専門家は日本でも感染の「第6波」の主体となる可能性を指摘している。

 

■インフルエンザとの大きな違い なぜ子どもは発症しにくいか

 

 12月に入り、オミクロン株の陽性者が現われ始めたが、どのような性質かはまだわからない。過去の国内データを見ると夏のデルタ株はそれまでの株よりも感染力を強め、逆に「陽性者を分母にした死亡率」は下がっている。ウイルスの生存本能からしてさらに感染力を強める(致死率は下がる)だろうか。

 次の波に備え、科学的に広い視野と情報量で新型コロナを解説している大阪市立大学医学部名誉教授の井上正康さんの近著「新型コロナ騒動の正しい終わらせ方」(松田学共著/方丈社)など著書を参考に、感染対策を専門用語を極力ひかえてわかりやすく紹介したい。

 

【インフルエンザとの違い】

 

 インフルエンザウイルスが吸着する先‥‥シアル酸

 新型コロナウイルスが吸着する先‥‥‥‥ACE2(エースツー)

 それぞれウイルスがとりつく受容体が異なる。

 シアル酸は喉、気道に多い。他に鼻、喉、気道から肺が同じ壁なので広がる(増殖)。ウイルスが粘膜細胞の表面を傷つけ肺炎球菌などの細菌に感染した場合、細菌性肺炎となる。

 ACE2は喉や鼻などには少ない。口腔内などの傷口(目にはとても見えないレベル)から血液に入り血管の内皮細胞にとりついて増殖する。

 インフルはシアル酸が多い気道粘膜に、コロナはACE2が多い血管で増殖。

 だからインフルは呼吸器系障害が強く、コロナは血栓症が本体である。もちろんコロナでも呼吸器疾患は起きるが、本質的な相違はこの点だろう。(新型コロナワクチンの副反応が心筋炎など血管障害が多いことと無縁ではない)

 実は赤ちゃんや子どもは、コロナがとりつくACE2が少ない。だから増殖しにくく、インフルよりも子供の発症が極端に少ない。

 もう1カ所、ACE2が多いのが腸(小腸、大腸、胆嚢、心臓の順)。

 だからコロナは「糞口感染」がメインである。その場合のウイルスの経路を単純化すると、

 口腔内の傷口などから侵入→血管内皮細胞で増殖(血管障害の可能性あり)→腸など血管外へ→便と共に排出する(もちろんその間に口内で白血球、体内で免疫力や様々な要因により死滅することもある)

 メディアで解説している医師や専門家にはこのようなメカニズムを知らない方が大半である。実は新型コロナの兄貴分のSARSも糞口感染が主体であることが判明している。

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松野 大介

まつの だいすけ

1964年神奈川県出身。85年に『ライオンのいただきます』でタレントデビュー。その後『夕やけニャンニャン』『ABブラザーズのオールナイトニッポン』等出演多数。95年に文學界新人賞候補になり、同年小説デビュー。著書に『芸人失格』(幻冬舎)『バスルーム』(KKベストセラーズ)『三谷幸喜 創作を語る』(共著/講談社)等多数。沖縄在住。作家、ラジオパーソナリティー、文章講座講師を務める。

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