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オミクロンのもとで経済を回す方法【佐藤健志】

佐藤健志の「令和の真相」37

2022年1月19日。日経平均、大幅続落 5カ月ぶり安値。

 

◆終わらなかったコロナ禍

 

 2020年から2021年にかけて、わが国では新型コロナウイルス感染症について、流行拡大の波が5回生じました。

 それぞれの波の期間、つまり「いつごろ始まって、いつごろ終わったか」については、「波」をどう規定するかによって多少の異同があるものの、まとめておけば以下の通り。

 

◉第一波 2020年3月末〜5月

    (4月〜5月、緊急事態宣言第1回)

◉第二波 2020年7月〜8月

◉第三波 2020年11月上旬〜2021年3月上旬

    (2021年1月〜3月、緊急事態宣言第2回)

◉第四波 2021年3月下旬〜6月

    (4月末〜6月、緊急事態宣言第3回)

◉第五波 2021年7月〜9月

    (緊急事態宣言第4回)

 

 最大の波は第五波でしたが(ただし感染者に占める死亡者の割合は第四波より顕著に低下)、秋口になって急に収束します。

 ワクチン接種が進んだためとか、夜間の滞留人口(とくにワクチン接種をすませていない人)を低く抑えることができたおかげとか、いろいろな説明がなされましたが、本当のところは専門家にもよく分からないのだとか。

 とはいえ、感染が下火になるに越したことはない。

 

 長かったコロナ禍もついに終わった!

 これからは経済のV字回復をめざすんだ!!

 2021年秋、岸田内閣が成立した時点では、そんな気運まで見られました。

 ところがどっこい。

 

 「よく分からない理由でいいことが起きたら続かないと思え、よく分からない理由で悪いことが起きたら繰り返されると思え」という法則は、ここでもしっかり当てはまりました。

 

 11 月下旬、南アフリカで新たな変異株の発見が公表される。

 1126日、WHOはこれを「オミクロン株」と命名、欧州CDCともども「懸念される変異株」と位置づけます。

 28日には、わが国の国立感染症研究所もこれにならいました。

 

 政府は水際対策を講じますが、2022年になると国内でも感染が拡大。

 ウイルスの侵入を許した最大の抜け穴は、在日米軍の存在だったりするんですな。

 『平和主義は貧困への道』とは、私が2018年に出した本のタイトルですが、なんと平和主義、感染への道でもあった次第。

 この理念を掲げつづけるかぎり、日本はアメリカに安全保障を依存するしかないんですからね。

 

 かくしてわが国も、今や第六波を迎えるにいたったものの、この変異株については興味深い主張が見られます。

 

次のページおい、経済はどうするんだ!

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佐藤 健志

さとう けんじ

評論家・作家

 1966年、東京生まれ。東京大学教養学部卒業。

 1989年、戯曲『ブロークン・ジャパニーズ』で、文化庁舞台芸術創作奨励特別賞を当時の最年少で受賞。1990年、最初の単行本となる小説『チングー・韓国の友人』(新潮社)を刊行した。

 1992年の『ゴジラとヤマトとぼくらの民主主義』(文藝春秋)より、作劇術の観点から時代や社会を分析する独自の評論活動を展開。これは21世紀に入り、政治、経済、歴史、思想、文化などの多角的な切り口を融合した、戦後日本、さらには近代日本の本質をめぐる体系的探求へと成熟する。

 主著に『感染の令和』(KKベストセラーズ)、『平和主義は貧困への道』(同)、『右の売国、左の亡国 2020sファイナルカット』(経営科学出版)、『バラバラ殺人の文明論』(PHP研究所)、『夢見られた近代』(NTT出版)、『本格保守宣言』(新潮新書)、『僕たちは戦後史を知らない』(祥伝社)など。共著に『新自由主義と脱成長をもうやめる』(東洋経済新報社)、『対論「炎上」日本のメカニズム』(文春新書)、『国家のツジツマ』(VNC)、訳書に『[新訳]フランス革命の省察 「保守主義の父」かく語りき』(PHP研究所)、『コモン・センス 完全版』(同)がある。『[新訳]フランス革命の省察 「保守主義の父」かく語りき』は2020年、文庫版としてリニューアルされた(PHP文庫。解説=中野剛志氏)。

 2019年いらい、経営科学出版でオンライン講座を制作・配信。『痛快! 戦後ニッポンの正体』全3巻、『佐藤健志のニッポン崩壊の研究』全3巻、『佐藤健志の2025ニッポン終焉 新自由主義と主権喪失からの脱却』全3巻を経て、最新シリーズ『経世済民の作劇術』に至る。2021年〜2022年には、オンライン読書会『READ INTO GOLD〜黄金の知的体験』も同社により開催された。

 

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