ワグネル反乱と「現実の解体」【佐藤健志】
佐藤健志の「令和の真相」49
◆反乱の経緯を振り返る
終結のメドが立たないウクライナ戦争ですが、この6月、世界の注目を集める事件が起こりました。
ご存知、ワグネルの反乱です。
まずは経緯から。
ワグネルはロシアの民間軍事会社。
2014年、同国によるクリミアへの軍事介入と相前後して設立されます。
ウクライナのドンバス地方では、くだんの介入直後から分離独立派(=親ロシア派)が蜂起、内戦状態となるものの、ワグネルは2014年から2015年にかけて分離独立派を支援、注目を集めました。
その後はシリア、リビア、マリ共和国などで内戦に関与したと伝えられますが、ウクライナ戦争でも大きな役割を果たすことに。
服役中の囚人を勧誘して兵士に仕立て、前線に送り込んでいるとかで、過去一年の間に「ロシアを支配する軍や治安機関のエリートに匹敵する権力基盤を持つようになった」のです。
しかしそれとともに、軍との対立も深まる。
ワグネルの創設者で、リーダーでもある富豪のエフゲニー・プリゴジンは、国防大臣のセルゲイ・ショイグと、参謀総長のワレリー・ゲラシモフを長年、目の敵にしてきたそうですが、投稿動画で両者を公然と罵倒するにいたります。
プリゴジンと個人的なつながりがあるうえ、側近同士の対立を煽ることで権力を維持してきたプーチンは黙認を決め込みました。
けれども6月、事態は急展開を見せる。
ショイグが「志願兵部隊」、つまり民間軍事会社の戦闘員を国軍に編入すると発表したのです。
そしてプーチンもこれを支持!
激怒したのでしょう、プリゴジンはショイグとゲラシモフの拘束を画策。
プリゴジンは計画を変更、「この戦争は名誉欲に駆られた軍上層部が、ウクライナで暴利をむさぼろうとする富裕層と結託、大統領や国民を騙して始めたもの」という趣旨の声明動画を6月23日に発表します。
そしてロシア南部のロストフ州に部隊を移動させ、州都ロストフ・ナ・ドヌにあるロシア軍南部軍管区司令部を制圧したと主張。
さらにはモスクワまで向かおうとしたものの、24日、プーチンが厳しい措置を取ると宣言するや、一転して進軍中止を表明、南部軍管区司令部付近の部隊も撤退させました。
プリゴジンはその後、ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領の仲介で同国に入ったと報じられます。
プーチンはワグネル戦闘員にたいしても、ロシア軍に入るのでなければ、ベラルーシに向かってよいと述べていますが、今後どうなるかは予断を許しません。
と、筋道立ててまとめてはみましたが・・・