「方舟の天才」と呼ばれた丸藤正道 師匠・三沢光晴とリングへの強い想いを語る【篁五郎】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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「方舟の天才」と呼ばれた丸藤正道 師匠・三沢光晴とリングへの強い想いを語る【篁五郎】

写真提供:プロレスリング・ノア

 

 世の中には順調にエリート街道を進んでいる人物がいる。プロレス界でいえば、「方舟の天才」と呼ばれた丸藤正道がその一人であろう。レスラーとして業界から高く評価をされ、現在もプロレスリング・ノアのトップレスラーとして団体を引っ張っている。

 しかしその丸藤にも苦しい時期があった。その苦悩を人に明かすことなく悩み続けていたのかもしれない。

 天才と呼ばれたレスラーは、2024年早々に大きな舞台が待っている。丸藤同様、天才と呼ばれている飯伏幸太とのシングルマッチが12日有明アリーナで決まった。団体の看板タイトルであるGHCヘビー級選手権を差し置いてのメインイベントはファンから賛否両論を呼んだ。

 大きな舞台が間近に迫っている中、ロスジェネ世代でもある丸藤選手にレスラー人生について詳しく話を聞いてきた。

 

写真提供:プロレスリング・ノア

 

■丸藤少年がプロレスラーを目指すきっかけはあのレジェンドレスラー

 

 幼い頃は外で駆け回るのが大好きでやんちゃ坊主だったという。4兄弟の末っ子(兄の一人は著名なアニメーター丸藤広貴)で、兄弟同士でプロレスごっこもしていたそうだ。そんな活発な少年がプロレスラーになるきっかけとはなんだったのだろう。

「子供の頃、兄が持っていたプロレス雑誌の表紙にロードウォリアーズ(日米で大ブームを博したタッグチーム)という外国人選手がいたんです。顔にペイントをして、頭はモヒカン、筋肉ムキムキで、初めてプロレスラーというものを見たんです。そこからプロレスが好きになって、ずっと見続けていましたね。試合会場に行ったり、プロレス雑誌を買ったりして、いつしかプロレスラーになりたいっていう気持ちになりました。プロレスラーになると決めたのは中学校に入ってからですね。

 ただ、僕はめちゃくちゃ大きいわけじゃないし、今でもそうなんですけど体の線も細い。だからなのか、中学の進路相談のとき、学校の先生に『プロレスラーになりたいからレスリング部のある高校へ行く』と言ったら、『お前なんかになれるわけないだろう』みたいなことを言われたんです」

 その一言は丸藤少年の心に火をつけた。

「刺激になりましたね。絶対プロレスラーになってやるって思いましたよ」

 それからプロレスラーになるために高校もレスリング部があるところを自分で探し出し、見事入学をしたのだった。

 入ったのは埼玉県でレスリングの強豪校である埼玉栄高校。レスリング部へ入部し、インターハイに出場するほどの活躍を見せる。部活動の他に、初代タイガーマスクだった佐山聡が主宰するタイガージム大宮へ入門し、格闘技も学んでいる。高校2年のときに、UWFインターの後継団体キングダムの入門テストに合格をするほどであった。丸藤が入門する前にキングダムは崩壊。入団することはなかったが、もし入っていたらどんなレスラー人生を歩んでいたのだろうか。

 19988月に全日本プロレスでデビュー。入門から5ヶ月後でのデビューは丸藤に大きな影響を与える三沢光晴並みの早さであった。なぜなら当時、全日本プロレスはスクワットや腕立て伏せ、受け身に多くの時間を取り、プロレスラーとしての基礎をしっかりと身に付けてからデビューさせていたからである。丸藤がどれだけ期待されていたのかがうかがえる。

 デビュー後も期待の若手選手として多くの先輩レスラーと試合が組まれた。特に注目されたのがプロレス界を象徴するレスラーの一人、ジャイアント馬場とのタッグである。丸藤は馬場が存命していた頃にデビューしており、「ジャイアント馬場最後の弟子」とも呼ばれていた。その馬場とのタッグでは、身長2m9cmある馬場の肩から丸藤がミサイルキックを繰り出して、ファンから多くの歓声を浴びたこともある。

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「ABEMA presents NOAH “THE NEW YEAR” 2024」

2024年1月2日(火)東京・有明アリーナ大会

 

 

https://www.noah.co.jp/news/5259/

記事中に何度も出てきた有明アリーナ大会とは、「ABEMA presents NOAH “THE NEW YEAR” 2024」のことである。

★2024年12日(火) 開始:15:00 開場:13:30  会場:有明アリーナ

※ダークマッチの開始時間は1420分を予定しています。

丸藤正道選手はメインイベントで、アメリカの団体に所属する飯伏幸太選手(A.E.W)と対戦します。

チケットは

■電子チケット限定直前販売をイープラス電子チケット「スマチケ」にて行います。

 URLはこちら  https://eplus.jp/sf/word/0000001320

 販売期間 11(火)12時~12日(火)1600分まで

■当日券は会場当日券窓口にて12日(火)お昼1200分から発売にて発売中です。

当日はABEMAにて生配信も行う予定です。

https://abema.tv/channels/fighting-sports/slots/94uDyUQ5V9zVao

✳︎日程には追加・変更がございますことをご了承ください。変更の際には、プロレスリング・ノア公式ホームページ(https://www.noah.co.jp/)にてお知らせいたします。

篁五郎

たかむら ごろう

1973年神奈川県出身。小売業、販売業、サービス業と非正規で仕事を転々した後、フリーライターへ転身。西部邁の表現者塾ににて保守思想を学び、個人で勉強を続けている。現在、都内の医療法人と医療サイトをメインに芸能、スポーツ、プロレス、グルメ、マーケティングと雑多なジャンルで記事を執筆しつつ、鎌倉文学館館長・富岡幸一郎氏から文学者について話を聞く連載も手がけている。

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