「いのち輝く」万博から「いのち失う」万博へ 維新と自民党が引き起こす絶望のスパイラル【適菜収】
【隔週連載】だから何度も言ったのに 第62回
大阪万博を本当にこのまま開催するつもりか? 会場からはメタンガスが発生。爆発事故が発生したが、
■「いのち輝く」万博から「いのち失う」万博へ
最近、昔のことをよく思い出す。インドはこの30年行っていないが、変わったかな。多分、変わっていないと思う。そう思わせるところが、インドのすごいところ。
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1994年頃の話。インド人は大言壮語することが多い。プーリーという町に、10歳くらいの子供が3人でやっているジュース屋があった。会議室にあるような長方形のテーブルが一つあるだけで、手でオレンジを絞るだけなのに、店名は「インターナショナル・オレンジジュース・センター」だと。
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カルカッタの町はずれを歩いていると、空き地に子供がまたがる車の遊具があった。別に動くわけでもない。近くにいたインド人に「あれはなにか?」と聞くと「万博だ」と言う。「万博ということは、今からここにパビリオンを作るのか?」と聞くと「いや、この乗り物だけだ」と言う。大阪万博もこのくらいの規模に縮小したほうがいい。
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メタンガス万博が、ネットでも炎上中。今度は、軟弱地盤のため、乗り物で展示を楽しむ「ライド型」のパビリオンがゼロになる可能性があるという。これまで「空飛ぶクルマ」と大法螺を吹いていた吉村洋文も、ついには「(クルマではなく)ドローンです」と認めるに至った。大言壮語にも程がある。
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参加国が独自に設計・建設する「タイプA」の海外パビリオンも減少を続け、工事業者すら決まっていない国も多い。入場券も売れていない。万博協会の販売目標は2300万枚だが、4月3日時点では目標の6%にも達していない。
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吉村は昨年8月、大阪府内の4歳から高校3年生まで、100万人あまりを万博に無料で招待すると表明。しかし、無料ほど怖いものはない。いつどこで命を落とすことになるのかわからないところに、子供を送り込むのは狂気の沙汰である。令和の学徒動員。大人の都合のために犠牲になるのはいつも若者である。
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大阪府教育庁は、府内の学校に対して、希望する来場日などを回答するよう求めたが、さすがに大阪教職員組合などが反発。安全性を確認できるまでは、万博の招待事業に参加するかを確認する意向調査を中止すべきだと主張した。当たり前。
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2020年、大阪で新型コロナによる感染者、死者が急増し、後手後手の対応が批判される中、吉村は会見で「先手の対応をすべきというのが僕自身の考え方」と発言。誰もが唖然としたが、万博で死人が出ても、平気な顔で「先手を打って対応したい」とか言うんだろうね。
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万博テーマの「いのち輝く」は「いのち失う」状態になっているし、万博コンセプトの「未来社会の実験場」は731部隊状態。万博の即時中止が求められる。