「バナナブレッド」が美味すぎて激太り。星野ロミが明かすフィリピン“収容所メシ”事情
『漫画村の真相』より #2
昨年、特殊詐欺事件の黒幕「ルフィ」が指示を出していた場所として注目を浴びたフィピリンの入管収容所。ここに漫画村事件の首謀者・星野ロミも収容されていた。ここでの生活は、一般に想像される惨めなものではなかったようだ。とくに食生活が充実していたようで…著書『漫画村の真相』(KKベストセラーズ)から驚きの“収容所メシ”事情を紹介しよう。(「漫画村の真相」シリーズ#2 / #1を読む)
■収容者がお互いに料理を振る舞う
フィリピンの収容所は、簡単に言えば、世界中のあらゆる文化をルーツに持つ人が集まった愉快なところでした。料理が大変おいしかったのを覚えています。収容所が出してくれる料理ではありません。
捕まった人たちが自国の料理をお互いに振る舞うのです。スマホが手に入るぐらいですから、金さえあれば食材なんてどうとでもなります。世界中の本場の料理が食べられる、これが本当においしい。
インド人が作るカレーは日本のインドカレーと全然違います。ムスリムの人がイスラム系の料理を作り、みんなで座って食べます。もちろんユダヤ系の自分もそこに交じって食べるわけです。まさに混沌です。
それからランチョンミート、沖縄だと「ポーク」なんて呼ばれる、あれが売ってます。褒めるんだからいいか、「スパム」という商品名も知られています。パンも売っているので、それにさらに各国の、中華でもカレーでもタンドリーチキンでも、惣菜をはさんで食べるのです。これが、何とも言えない、屋台の味というか、クセになってヤミツキの味でした。
■衝撃のウマさだった「バナナブレッド」
そんな中でももっとも衝撃だったのは、アメリカ人の樽みたいにでかいおじさん。バナナブレッドを出してくれたのですが、ひと口食べたらまさに雷に打たれたような美味でした。全部買うから全部くれ、と言って、1斤丸ごと食べました。翌日も1斤食べました。スマホがあったので写真も撮っています。
そうやって1日に2回ぐらい食べ続けていたら、3ヶ月弱で15キロ太りました。それぐらい美味かった。普通捕まっていたら痩せて出てくるものだと思いますが、逆に太って出てきたのはだいたいあのバナナブレッドのせいです。
日本で仮釈放になって、おいしいものもずいぶん食べましたが、あのバナナブレッドを超える美味いものにはまだ出合っていません。というわけで、「国外逃亡犯」とか「不法滞在」というと、ずいぶん人目を忍んだみじめな暮らしをしていたように思われがちですが、それなりに楽しくやっていたのです。
〈『漫画村の真相』より構成〉