安倍昭恵さんと一緒に振り返りたい「主人の言葉」【適菜収】
【隔週連載】だから何度も言ったのに 第81回
いつまでも忘れてはならない安倍晋三の言葉。今回はそれを「世界に広げていきたい」という安倍昭恵さんの願いを受け、多くの人々が衝撃を受けた「主人の言葉」をピックアップした。新刊『「保守思想」大全――名著に学ぶ本質』(祥伝社)で、過去の賢人が語った保守思想の本質をまとめた適菜氏の「だから何度も言ったのに」第81回。
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■家庭内事情を暴露してきた昭恵さん
「プロ私人」として八面六臂の活躍を続ける昭恵さん。先日は民間人の立場でトランプと面会。帰国後は「本当に暖かいお二人(トランプとメラニア夫人)とお話できて、きっと主人も喜んでくれているはず…ありがとうございました!」とSNSに投稿。
昭恵さんといえば、奔放な性格で有名だ。そして家庭内の話もいろいろ漏らしてくれる。
「日本の精神性が世界をリードしていかないと地球が終わる」(「BLOGOS」2016年11月9日)という記事では《なぜあれ(麻)をずっと使っているかって、それなりに「波動の高い植物」だからだと、私は思うんです》《主人自身も特別な宗教があるわけじゃないんですけど、毎晩声を上げて、祈る言葉を唱えているような人なんですね》。毎晩声を上げて、祈る言葉を唱えているのは、どう考えても「特別な宗教」だろう。
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2020年8月、安倍は東京・信濃町の慶應義塾大学病院を訪れ、その後、再訪。持病の潰瘍性大腸炎が悪化したという説や、検察の捜査(公職選挙法違反)から逃れるための入院の準備といった説も流れた。周辺の連中はメディアに事前リークして病院通いを大々的に報道させた。8月28日、安倍は「本年6月の定期健診で、(潰瘍性大腸炎)再発の兆候が見られると指摘を受けました」などとお涙頂戴の辞任会見を行い、直後に支持率は急上昇した。
首相動静を見ると、安倍は辞任直前まで会食を繰り返していた。持病の再発の兆候があったと主張する6月以降も、高級レストランで宴会三昧。自民党議員の政治資金パーティーに連日駆け付け、夜の会合にも出席。谷口智彦内閣官房参与(当時)の証言によれば辞任後の9月11日にも安倍はコース料理を完食し、酒まで飲んでいる。
こんな話もある。
《持病の潰瘍性大腸炎の経過を気づかう声に、「新しい薬が効いているんで、もう大丈夫になりました」と安倍は笑顔で答える。すると、隣の昭恵夫人がこんな軽口を叩いた。「主人はお芝居がうまいから。アハハ!」》(「週刊現代」2021年8月21・28日号)。
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以前、私が『安倍でもわかる政治思想入門』(KKベストセラーズ)という本を出したとき、昭恵さんに献本したが、丁寧な御礼の返事をいただいた。それで昭恵さんには少し親近感を持っている。先日、昭恵さんは、安倍晋三が生前、口にしていたキャッチフレーズを記した上で「日本の精神を世界に広げていきたい」とSNSに投稿。《紀元二六八五年記念 下関市の『建国記念の日奉祝市民大会』に於いてお話させていただきました》《神武天皇の建国の理念は八紘一宇。世界中がひとつの家族のようになれば平和になるという考えだと思います》《日本を取り戻す 美しい国日本 日本の精神を世界に広げていきたいと思います》。あらためて統一教会のフレーズに酷似していることに気づくが、それはともかく、私も非力ながら昭恵さんのお手伝いをしたい。
そこで「世界に広げていきたい主人の言葉」を紹介する。