柏木陽介の未来日記②-2 浦和レッズでリーグ優勝
「貪欲」
天皇杯は残念ながら3回戦でモンテディオ山形に足もとをすくわれてしまったものの、ナビスコカップはついに決勝戦までたどり着いた。
「3冠」の可能性は消えてしまったけれど、残りのタイトルは絶対に勝ち取りたい。ナビスコカップでまずはひとつ目のタイトルを手にして、その勢いをリーグ戦に持ち込めたら…というのが理想のシナリオだ。
その「リーグ優勝」は、僕が一番欲しいタイトルであることは前回触れたけれど、いまの自分はストイックなまでに“貪欲”(笑)。
なぜ僕が、それほどまでリーグ優勝にこだわっているのか。その理由について、今回は「チームへの思い」ではなく「個人的な思い」から書いてみたい。
「僕が克服しなければいけないノルマ」
リーグ優勝したいひとつ目の理由は、なんといっても、自分自身に自信を持ちたいから。
意外に思われるかもしれないけれど、ずっと僕は自分に自信が持てていないし、いまもそう(苦笑)。
代表選手を見ても、自信を持ってプレーしている選手のほうが、つねに良いプレーを見せている。たとえばケイスケくん(本田圭佑)やユウトくん(長友佑都)。ヨーロッパに行ってからの彼らは目に見えて成長しているのがわかる。
正直、実力的には負けない、という自信はあるし、アスリートである以上それは持っていなければいけないものだと思っている。
でも、一方でメンタルの強さで完全に僕は負けているなとも思う。
僕の場合は代表に行くとビビっている気がする。というか、自分を出す前にみんなに気を使ってプレーする感じになってしまう。あのシンジ(香川真司)だってドルトムントでは輝いていたのに、マンチェスター・Uでは結果を出せずに苦しんでいる。
つまりは、自信のない、弱気な自分と“さよなら”したい。
これが「個人的な」リーグ優勝をしたい理由だ。
そのためにも、結果を残すしかないし、何事にも動じない自信がなければ、日本代表に定着することはできない。そう、ワールドカップ出場という大きな夢をつかむためには、絶対に克服しなければならない“ノルマ”だと思っている。
「タイトルを獲るために必要なモノ」
もうひとつの理由は、揺るぎないプレースタイルを身につけたいから。
正直言うと、サンフレッチェ時代はそんなに優勝を意識していなかった。
楽しくプレーすることが一番だと思っていたから……。
でも、レッズに来てから、自分自身の意識が変わった。レッズはビッグクラブだから、つねに優勝を意識してプレーしなければいけないと思うようになった。
タイトルを獲るために“なにか”が足りないのか。
欲望、不安、自信、プレッシャー…。そんな言葉が自分の頭を駆け巡るたび、心が押しつぶされそうになって現実から逃げ出したくなる。
でも、その“なにか”をつかむためにも、僕は絶対に逃げ出さない。
僕自身が目標としているヤットさん(遠藤保仁・G大阪所属)のように、いつも淡々とマイペースに、かつ冷静にチームを引っ張っていきたい。なにより、プレッシャーすら楽しんでいるかのように、したたかに勝利を目指していく――そんなヤットさんの揺るぎないプレースタイルは、僕にとって本当の憧れだ。でも、ただの憧れに終わらせたくないから、これからももっとストイックに“欲”を出していくつもりだ。
リーグ優勝というカタチで、自分のプレースタイルを証明できれば、一生モノの“自信”になるはず。だから今夏からずっとお酒を控えるようにしているし、食事と睡眠にもこだわって規則正しい生活を送るようになった。
周りから“3日坊主”に終わると思われていた、筋トレも地道に続けている。タイトルに貪欲になることで、自分自身もレッズも変われるはずと思うから、これからも僕は一生懸命に努力するつもりだ。
そして、「未来日記」ページにだけではなく、実際の日記に、このように“自信”を持って書き記すつもりだ。
「2013年12月、浦和レッズでJリーグチャンピオン!」
次回のコラムでは、みんなに「ナビスコカップ優勝」を報告できることをお約束して、このへんで。ではまた!
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