柏木陽介の未来日記②-1 浦和レッズでリーグ優勝
「リーグ優勝はスタイルへの評価」
前回は「ワールドカップ出場」という大きな夢について書いた。でも、近い未来、いや今年に書きたい言葉といえば、「浦和レッズでリーグ優勝」になる。
「優勝」への想いは日に日に強くなっている。
去年はナビスコカップで予選グループ敗退、天皇杯はベスト16止まりと情けない結果に終わった。リーグ戦では優勝できるチャンスに巡り合えたけれど、結果はご存知のとおり(3位)。カップ戦の悔しい思いと、頂点を意識できた経験によって、今シーズンはタイトルに対して執念が生まれていた。
今季、ACL(アジアチャンピオンズリーグ)は負けてしまったけれど、チームとしての調子の波があるなかで、リーグ戦ではずっと3位以内を維持できている。
ナビスコカップもベスト4まで残れているし、天皇杯も負けていないから「3冠」の可能性も残されている。つねに優勝を意識できていることは、僕の中では大きなモチベーションだ。
ただ、一番欲しい「優勝」はなにか、と言われれば「リーグ戦のタイトル」というのが本音だ。シーズンを通して戦うリーグ戦は、自分たちがやってきたサッカーが間違っていなかったということを証明することにもなるから。
「リーグ優勝したい三つの理由」
ということで今回は、僕が「リーグ優勝」したい理由をチームへの思いと、個人的な思いのふたつに分けて書いてみたい。
最初はチームへの思いから。
僕がいま、臆することなく言えることがある。
それは浦和レッズというチームが大好きである、ということだ。
まず、監督が好きだ。
監督であるミシャ(ペトロヴィッチ監督の愛称)とは、サンフレッチェ広島時代を含めると一緒に仕事するのは6年目。
忘れられないのは1年目だ。サンフレッチェのトップチームでプレーするようになって間もない18歳の僕をいきなり信頼し、試合で使ってくれた。ミシャがいなかったら今の僕はないかもしれない、そう感じることもあるくらいの感謝の思いがある。
そんなミシャが昨年、浦和レッズの監督になるなんて想像すらしていなかった。浦和レッズのミシャとして初めて対面した昨年の2月、レッズの練習場で、
「優勝するためには、ヨウスケの力が必要だ」
と言ってくれた。
素直に嬉しかったし、サンフレッチェ時代を含めてここまで育ててもらった感謝の気持ちを伝えるためにも、絶対に優勝したいと改めて思った。
「レッズだからこそ勝ちたい」
メンバーも好きだ。
特にレッズの今の選手たちはすごく仲がいい。
例えば誕生日。当日はみんなでお祝いメールを一斉にして、その後、数カ月に一度のペースで集まり、その間に誕生日があった選手をお祝いする。この会は、だいたい僕が声掛けをするのだけど、家族の都合などで来られないメンバー以外ほとんどが参加。こんなにメンバー同士の仲がいいチームもあんまりないんじゃないかと思う。
ほかにも上手くいかなかった試合のあと、みんなで食事をしながら、プレーを確認し合ったり、新しく入ってきた選手も溶け込みやすいようなチームの雰囲気がある。
そんな仲間がいるから、このメンバーで勝ちたい、と自然に思える。
9月は正念場だった。リーグ戦は2分1敗。
特に引き分けてしまった2試合、甲府戦と湘南戦は勝ちきらなければいけなかった。甲府戦は引いた相手にとても苦労したし、湘南戦も後半に一度は逆転されて苦しい展開だった。もし、湘南戦で負けてしまっていたら、リーグ優勝への望みは断たれてしまっていたかもしれない。
シーズンも佳境を迎え、ラストスパートの時期。
大事なものは、気持ちだと思う。それは僕がまだまだ追い求めなければいけないものであり、チームも同じ。
実は、ここに僕の個人としてリーグ優勝したいワケがある……。
それはまた次回に書くことにして、チームのためにもリーグ優勝したい理由の三つ目。
それはサポーターのみんなへの思い。
レッズに来て、いい成績を残せなかったときも、いつも僕らを鼓舞してくれたサポーター。そんなみんなと優勝を分かち合いたい、うれし涙をともにしたい――。
この気持ちは、ピッチに立つたびに強くなっていく。
実際、もし優勝してサポーターの顔を見たら……と想像するだけで涙が出そうになるくらい。
ちょっと、ウルウルしてきたので(笑)今回はココまで。次回は、個人としてのリーグ優勝への思いを書いてみたい。
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