「葉もの」が上位独占 パワー野菜ランキング |BEST TiMES(ベストタイムズ)

BEST TiMES(ベストタイムズ) | KKベストセラーズ

「葉もの」が上位独占 パワー野菜ランキング

監修/吉田企世子(女子栄養大学名誉教授、農学博士)

 

 アメリカ疾病予防管理センターCDCの機関誌『慢性疾患予防』に発表された、「17種類の必須栄養素が豊富な野菜と果物41品目」ランキング。その上位には、緑黄色野菜の高得点が目立つ。

 たとえば、フダンソウ(3位)やビートの葉(4位)などは、免疫力を高め、老化の予防、高血圧の改善が期待される成分が豊富な野菜だ。また、ホウレンソウ(5位)のようにビタミンとミネラルが豊富で、相互作用によって、貧血改善などのはたらきをもっている緑黄色野菜もある。

 一方、対象となる41品目のなかには、アメリカ南部の郷土料理に使われるキャベツの一種コラードの葉(10位)のように、日本では馴染みの薄い野菜も含まれている。シーザーサラダに欠かせないロメインレタス(9位)、茎の根元が肥大化し、キャベツの芯に似ているコールラビ(23位)なども、フィトケミカルを含む緑黄色野菜。栄養成分をできるだけ逃さないようにと、欧米ではサラダにして食べているようだ。

「サラダでも、ドレッシングを工夫すればいいのです。ニンニクの酢漬けや柴漬けの汁なども、ちょっとした工夫で、おいしい、立派なドレッシングになります。水溶性のビタミンCなどが溶けだしたエキスをまるごと戴くスープもお勧めです。温野菜にすれば貴重な栄養成分を逃がしません」

 と、農学博士・吉田企世子先生のアドバイス。厚生労働省が定めた1日に必要な栄養分を満たすため、野菜350gを賢く口にする工夫は、いろいろありそうだ。  

 

 「チンゲンサイ」(英名 チャイニーズ・キャベッジ)
豊富なビタミン類のはたらきで、免疫力アップ

【主な栄養成分】 ビタミンC 24mg /鉄 1.1mg /カルシウム 100mg /カリウム 260mg /β‐カロテン(ビタミンA) 2000㎍ ※五訂 日本食品標準成分表  
疲労回復に効果のあるビタミンCや、高血圧予防に効果を発揮するβ‐カロテンが豊富。骨を生成するカルシウム、血中のナトリウム排出を促すカリウムなどのミネラル成分にも優れている。

【主な効用】 がん予防/動脈硬化予防/血栓の予防/美肌効果
ワサビにも含まれる辛味成分アリルイソチオシアネートが食欲を増進させ、血栓を防ぐ。ビタミンC、E、β‐カロテンの協働によって抗酸化作用が高まり、肌荒れを防ぎ、美肌効果も期待できる。 

【体においしい食べ方】下茹でせずに、コラーゲンたっぷりの牡蠣と油で炒めたり、ビタミンDの豊富な干しシイタケ、良質のタンパク質がある豚肉の赤身、厚揚げと組み合わせたりするとよい。 

 

「フダンソウ」(英名 チャード)
老化予防や疲労回復に効果  

【主な栄養成分】 ビタミンC 19mg /鉄 3.6mg /カルシウム 75mg /カリウム 1200mg /β‐カロテン(ビタミンA) 3700㎍ ※五訂 日本食品標準成分表
ホウレンソウと同じ科の青菜で、意外と知られていないが栄養豊富な緑黄色野菜。β‐カロテンをたっぷり含み、鉄、カリウムの量はコマツナを超える。ミネラル、ビタミンの含有量は、全野菜でもトップクラス。  

【主な効用】 がん予防/皮膚・粘膜の保護/高血圧の予防・改善/骨粗鬆症予防 カリウムが多く、心筋梗塞などの生活習慣病を予防してくれる。ビタミンB群・E・Kが活性酸素を抑えて体内での酸化作用を防ぎ、がんの発症リスクを軽減。豊富なβ‐カロテン(ビタミンA)は粘膜や皮膚を守る。 

【体においしい食べ方】さっと茹でてアク抜きし、おひたしや胡麻和え、汁物の具材などに。三大栄養素の代謝を促進するので豆腐、油揚げなどの大豆製品や肉、魚を使った炒め物、煮物にもよい。

 

「ビートの葉」(和名 テンサイ、サトウダイコン)
造血促進や認知症予防に  

【主な栄養成分】 ビタミンC 30mg/ビタミンK 400㎍/鉄 2.57mg/カリウム 762mg/ビタミンA 21086㎍(6326IU) ※USDA National Nutrient data base
フダンソウ、ホウレンソウの仲間。身(根)の部分はボルシチの材料として食用され、日本ではサトウダイコンとして砂糖の原料にもなる。日本人には食べられることが少ない葉は立派な緑黄色野菜でありビタミン豊富。  

【主な効用】 高血圧予防・改善/便秘予防・改善/疲労回復/認知症予防
赤い筋のある若い葉には抗酸化作用のある色素が含まれているので、生活習慣病予防によい。赤血球の形成を助け、認知症への効果が期待される葉酸(ビタミンB群の一種)も多い。身の濃い色素にも高い抗酸化作用がある。 

【体においしい食べ方】
葉はベビーリーフとしてサラダにすることが多い。コカブサイズの根の部分も、下茹でして薄い輪切りにしてサラダなどに用いる。ロシアの家庭料理ボルシチは、根の部分を使う。    

 

「ホウレンソウ」(英名 スピナッチ)
貧血を防ぐなど女性に優しい 

【主な栄養成分】 ビタミンC 35mg /鉄 2.0mg /カルシウム 49mg /カリウム 690mg /β‐カロテン(ビタミンA) 4200㎍ ※五訂 日本食品標準成分表
β‐カロテン、ビタミンC・K・Eなど、ビタミン類は標準的な野菜に比べて多い。また、根元の部分に多く含まれるマンガン、鉄、カルシウムなどミネラルも豊富。血や骨の健康維持に有効な成分を含む、貴重な野菜だ。  

【主な効用】 貧血予防・改善/皮膚の健康維持・美肌/認知症予防/高血圧予防・改善
抗酸化作用の強いβ‐カロテンをたくさん含んでいるので、がん予防や老化防止、免疫の活性化に役立つ。また、鉄分の吸収を助けるビタミンC、造血に欠かせない葉酸も多く、貧血や認知症など血液トラブルの予防に最適。  

【体においしい食べ方】ビタミンCを損失しないように、さっと茹でたおひたしに。またビタミンEが豊富なウナギ、タラコ、卵、アボカドなどの野菜と組み合わせたり、油炒めなどにすると抗酸化作用が高まる。   

 

オススメ記事