会社を潰す「アイデア社長」
「社長になれる人、なれない人」(4)
判断を下す前に衆知を集める
社長には社会の動きを見ることができる人、お客さまの動きを見ることができる人がならなければなりません。社長に求められるのは、「一番厳しいお客さまの目」になれるかということなのです。
私は「QPS」とよく言うのですが、お客さまが求めるのはQ(クオリティー)・P(プライス)・S(サービス)の組み合わせです。
ピーター・ドラッカーは経営戦略について、マーケティングとイノベーションが大事だと語っていますが、マーケティングとはQPSで他社との違いを短期的かつ長期的につくるということ。
それには世の中がどう動くかを知り、お客さまが求めるQPSが刻々と変わる中で本当にお客さまの目線に立って、ライバル会社がQPSをどう提供しているかを常に把握することです。ただ、このマーケティングは全てを社長が行う必要はありません。
最終的な判断は社長が下すものの、顧客の求めるQPSを見い出すことは、場合によっては部下に任せることができます。そうした能力のある社員は、社内に数多くいるはず。
松下電器(現・パナソニック)創業者で、経営の神様と言われる松下幸之助さんもおしゃっていますが、「みんなの意見をきちんと聞いて、衆知を集める」ということです。
一方、イノベーションは会社の部門の統廃合や新設など、会社という組織を大きく変えるもの。これは部下には任せられません。