「30代からコミュニケーション能力をあげるには?」古市憲寿さんに聞く!(30)
自分に合った「コミュニケーションの型」を見つければいい
誰もが”コミュ力”を持っている必要はない
まず、自分に合った「コミュニケーションの型」を見つけることが大事だと思います。コミュニケーションってどうしても「明朗快活に社交的にフレンドリーに笑顔で接すること」というようなイメージがありますよね。でも、そんな“リア充大学生”みたいなタイプの“コミュ力”を、誰もが身に付ける必要はないんです。
たとえ口下手でどもり気味になってしまう人でも、緊張してしまって相手の目を見てしゃべれない人でも、その人なりの「コミュニケーションの型」の最適解はあるはず。それは、ある分野にものすごく詳しくて話が面白いとか、相手の話を聞くのはとても上手だとか、いろんなタイプが考えられます。その中で、自分が無理せず苦労なくできる型を見つければいいんです。
現代社会に生きる以上「人との関わり合い」自体を避けることは難しいので、「コミュニケーションすること」を完全に無視することは得策ではありません。サラリーマンでなくとも、仕事上で人とのコミュニケーションは不可欠なものです。
僕には小説家の友達が結構いるんですけど、彼らだって一日中パソコンに向き合っているわけではありません。講演やインタビューを受ける、作品のための取材をする、編集者と会う……個人で働いていても、いろんな「コミュニケーション能力」が必要です。
ただ、ここまで就職活動で“コミュ力”が重視されている風潮については、ちょっとどうかな、と感じています。世間一般で言われているような“コミュ力”は、特定の人たちが得意とする特技みたいなものです。“コミュ力”が必要な仕事は、そこに特化している人に任せればいいわけで、社員全員が高い“コミュ力”を持っている必然性なんて、どこにもないはずですよね。
今、これだけ社会で若い人たちに“コミュ力”が求められているのは、中年以上の社員たちの「過剰な期待」と「自信のなさ」の表れなんじゃないかなと思います。「おじさん」って、命令と服従しか「コミュニケーションの型」を知らない人が多いですよね。
どちらにせよ、自分を偽ってまで中身のない“コミュ力”を身につけようとするなら、自分に合った「コミュニケーションの型」を見つけるのがいいと思います。
4月の毎日連載「30問30答。〜あの人の秘密〜 古市憲寿編」は、本日で終了です。古市憲寿さん、本当にありがとうございました!
そして5月の毎日連載「30問30答。〜あの人の秘密〜」は、ラーメンズの片桐仁さんにご登場いただきます! 明日もお楽しみに!