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「新しいことに挑戦するために必要なことは?」古市憲寿さんに聞く!(29)

違う世界の「友達」が勇気をくれる

世代間格差、少子高齢化、就職難……「閉塞感」に満ちた日本社会に対して、『絶望の国の幸福な若者たち』で描き出された「今が幸せ」と感じる若者たちの存在。現代社会で、サラリーマンという職業が抱える「閉塞感」のヒントとは―?

閉塞感は思い込みにすぎない

 今の社会に対して「閉塞感」を覚えている人もいるかもしれませんよね。でも、それって見方によっては、ただの思い込みです。だって「閉塞感」はあくまで“感覚”の問題ですから。たとえ景気が悪くて社会全体が停滞気味だとしても、国民全員の可能性が「閉塞」することなんてあり得ません。全員が成功するわけではないけど、だからと言ってみんなが失敗するわけでもない。
 このような思い込みや固定観念は、世の中にたくさんあふれていると思います。たとえば、「サラリーマン」という働き方もそうです。
 今でこそ「大学を卒業したらサラリーマンになる」という人が大多数を占めますが、総務省の「就業構造基本調査」によれば、日本人のサラリーマン(一般常用雇用者)人口が就業者全体の5割を超えるのは、1960年代以降からです。つまり「サラリーマンが当たり前」の時代はそれほど長くない。しかも、「終身雇用」も実際に享受できたのは、男性でも数割程度です。
 昔の日本では農業を含めて、自営業者が圧倒的に多かったんです。なので、「サラリーマンが唯一絶対の選択肢ではない」ということは覚えておいていいと思います。
 

写真/花井智子
人脈や資源、時間、能力、さまざまなことを一つに絞らずに分散させてリスクヘッジを図るのが古市さんの生き方。

 ただ、たとえば起業はいざしようと思うと、なかなか勇気が必要なことだと思います。それまでずっと会社で働いてきて、近くにいつも同僚がいて、毎月決まったお給料がもらえるという “守られた環境”から飛び出すわけですから。

 そんな時に勇気をくれるのは、やっぱり友達なんだろうなと思います。特に、違う業界や分野で頑張っている仲間ですね。
 なんのツテもないところから、一人で新しいことを始めるのって難しいし、リスクが高すぎると思うんですよね。自分と違う世界にいる友達は、いろいろな情報や新たな人脈、そこから広がる可能性をもたらしてくれますよね。普段から築いている人間関係が、困った時には大きな力になります。ただ、起業はたいていは失敗するので、まずは副業など小さく始めることをオススメします。

 

明日の最終回の質問は「Q30.30代からコミュニケーション能力をあげるには?」です!

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古市 憲寿

ふるいち のりとし

1985年東京都生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程在籍。慶應義塾大学SFC研究所上席所員。株式会社ぽえち代表取締役。朝日新聞信頼回復と再生のための委員会外部委員、内閣官房「クールジャパン推進委員」メンバーなどを務める。日本学術振興会「育志賞」受賞。著書に『希望難民ご一行様』(光文社新書)、『絶望の国の幸福な若者たち』(講談社)、『だから日本はズレている』(新潮新書)などがある。

Twitter: @poe1985


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