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小型艦の沈没が懸念される
大荒れの天候の中、連合艦隊が出撃!

日本海海戦と東郷平八郎 第14回

「三笠」は大本営に打電すると、マストに「赤白赤」の三角旗を掲げた。旗旒信号は艦隊から戦隊、各艦艇へと伝わってゆく。港外に待機していた艦隊は準備を整え、「三笠」を待ち受けていた。

 午前6時34分、「三笠」は鎮海湾を出撃した。「三笠」は鎮海湾の加徳水道を進み、艦艇の真ん中を突っ切った。

 前部最上艦橋には、東郷司令長官、加藤友三郎参謀長、秋山参謀ら幕僚が勢ぞろいしている。

「万歳!」

 各艦艇の甲板を埋めた将兵から鬨の声があがる。各艦では士気を鼓舞する軍歌が歌われた。「三笠」のあとを第1戦隊、第2艦隊第2戦隊、第4戦隊が続いた。外洋に出ると、予想以上に波が荒かった。水雷艇は木の葉のように揺れる。

 このままでは煙突の中に海水が入ってボイラーがやられる。秋山は連繋機雷と水雷艇は使えないと判断。秋山の具申を受け入れた東郷は午前10時、水雷艇隊に対し対馬で待機するように命じた。

 連合艦隊は7段構えの第1段にあたる奇襲攻撃ができず、いきなり主力艦隊での決戦に挑むことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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松田 十刻

まつだ じゅっこく

1955年、岩手県生まれ。立教大学文学部卒業。盛岡タイムス、岩手日日新聞記者、「地方公論」編集人を経て執筆活動に入る。著書に「紫電改よ、永遠なれ」(新人物文庫)、「山口多聞」(光人社)、「撃墜王坂井三郎」(PHP文庫)など。


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