僕がどうしてもマウンドに上がりたい理由
お笑い芸人・杉浦双亮の挑戦記〈17〉
ひとつの声でチームが変わる。前期優勝を果たすなかで見つけた野球の面白さ
前期優勝を果たすチームの一方で、杉浦には葛藤があった。
二刀流は「にぎやかし」ではない――。強い決意を込めたメッセージ。
二刀流は「にぎやかし」ではない――。強い決意を込めたメッセージ。
◆ブルペンから見るマウンド
ブルペン。
キャッチャーミットをめがけて、強くボールを投げ込む。試合を横目に見ながらいつも「今日は登板があるかな、あってほしいな」と願っていた。
前回も書いた通り、僕ら愛媛マンダリンパイレーツは前期優勝を果たし、素晴らしい時間を過ごすことができた。勝負の世界で勝つことは大事なことで、それを手にした喜びは何者にも代えがたいものだった。
ただ、こと僕個人のことだけを振り返れば、悔しい思いをいっぱいし、いろんなことを考えさせられた時間だったといえる。
前期の僕の最終成績は、5試合に登板、2回2/3を投げて被安打6で4四球、自責点2。防御率は6.75。
チームにまったく貢献できていない。
せっかく獲得してくれたチームに対して何にも恩返しができていないことに対して申し訳ない思いがある。
シーズン中、特に前期の後半戦においてはそうした思いに加えて、マウンドに上がれない悔しさが募る日々を過ごした。ブルペンで肩を作り、いつでもいける準備をしていても声が掛からない。もちろん、自分の実力は理解しているつもりだし、チームは勝利のために戦っているのだから、投げられないのは仕方がないこと。
それでも、チームが大量得点差をつけて勝っているときに声がかからなかったり、マウンドに上げてもらってもすぐに交代をさせられてしまったりする現実を目の当たりにするたびに「なにをしに愛媛に来たんだろう」と悩んでしまう。そんな日々だった。