瘦せの大食いとは言うけれど……
バイキングのお店の対応にショック
摂食障害になった女性たちとの30年余りの交流の軌跡が話題に!
ダイエットやストレスが高じて摂食障害になってしまった女性たち。
その数は、2万6000人以上(2016年4月厚労省発表)。
その予備軍の女性は10倍以上といわれています。
そんな拒食症などに苦しむ女性(=瘦せ姫)の「生と性」を、
著者は多くの摂食障害の女性たちとの交流を通して30年余り見つめてきました。
彼女たちの「生きづらさの正体」とは何か?
「それでも細さにこだわる理由」とは何か?
ときに、そんな彼女たちを悩まし、疎外感を与えてしまう現場を目にすることがあります。
それはどんな場所か?
「食べ放題」「バイキング」と謳っているレストランやホテルのビュッフェなどです……。
『瘦せ姫 生きづらさの果てに』の著者エフ=宝泉薫氏が「瘦せ姫とバイキング」に語る。
「時間無制限だから、まだまだ食べるけどね
( 略) とりあえず、店は出たけど。泣きそう」
天国と地獄、としてのバイキング。それを痛感させられたことがありました。ある瘦せ姫のツイッターを見ていたときのことです。
「ランチバイキングに来たよー。これから飯テロツイートしちゃうんで、見たくない人、ゴメン」
昼どきに機嫌よくつぶやき始めた彼女。テーブルいっぱいに、さまざまな料理が並ぶ画像もアップされ、たしかに飯テロといいたくなるようなツイートが続きます。
そのテンションは高まる一方で、そのうち、
「そろそろ一度、吐いてくる。時間無制限だから、まだまだ食べるけどね」
しかし、わずか数分後、状況が一変するのです。
「やばいことになっちゃった。とりあえず、店は出たけど。泣きそう」
そこに心配するツイートなども寄せられ、彼女による説明が始まりました。
「あのね、トイレから戻ったら店員さんが近づいてきて〝今、吐いていらっしゃいませんでしたか〟って。〝もし、故意にそうされているのでしたら、そういうお客さまにはご遠慮していただいているのですが、本当に大丈夫ですか〟って言われたの。とりあえず〝大丈夫です〟って答えたんだけど、バレたのかな。もう、それ以上、店の中にはいられなくて。なんかまだ、心臓がバクバクしてる」
本人いわく「そこは初めて行った店」だったそうですが、
「体型で怪しまれたのかも。たしかに、他のお客さんからはジロジロ見られてたけどさ」
実際、この人はかなりの瘦せ姫体型でした。そう、じつはバイキングをやっている店には排出型の拒食症者を敬遠するところも珍しくないのです。
そのいちばんの理由は、経済的なものでしょう。一般女性の数倍以上食べられるうえ、何度も吐いては食べ直すような人に来られては商売あがったりというわけです。
当の瘦せ姫たちも、自嘲気味にこんなことを言っています。
「食べ吐きできる子10人くらいでバイキング行ったら、店のもの食いつくせそうだね」
「ここの垢(過食嘔吐をしている人たちのアカウント)全員で食べ放題行ったら、その店つぶせるんじゃない」
それゆえ、こんな但し書きを入口に貼る店も。
「当店では、お客様の健康長寿に寄与できるよう願いを込めて食事の提供をしております。よって『摂食障害』をお持ちの方のご利用はご遠慮させていただきます。 ※これはあくまでも営業方針の一つで、障害を差別するものではありません」
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