安全運行は世界トップレベル!世界が認める新幹線の安全性と巧みな運転技術
エリザベス女王も絶賛の新幹線運転手の職人芸
欧米では10分の遅れなど遅れに入らない!
新幹線は開業以来、死傷者を多数出すような事故もなく、安全運行は世界でトップレベルですが、新幹線が高速鉄道であるため、開業時から安全運行にはとくに厳しい取り組みがありました。
新幹線は時速200㎞の高速鉄道であり、安全のため全線が踏切のない立体交差の新線で建設され、さらに高速列車が運転される線路には立ち入りなどができないよう、柵や金網で厳重にガードされています。
新幹線には「新幹線特例法(新幹線鉄道における列車運行の安全を妨げる行為の処罰に関する特例法)」が制定されており、線路内にみだりに立ち入ったり、物を置くなどの行為は法律により罰せられます。
このようなシステムで運転されている高速鉄道は、世界的にも日本の新幹線だけです。この安全を第一に考えた最高時速が300㎞前後で運転される高速鉄道が、数分間隔で、しかも秒単位で正確に運行されているのは日本が誇る新幹線の最大の特徴でしょう。
新幹線にかぎらず、日本の鉄道は秒単位でダイヤが組まれ運行されています。
それが当たり前となり、首都圏の通勤ラッシュ時には、10分も電車が遅延すれば苦情が殺到し、駅では遅延証明書が発行されます。
乗務員も遅延時のダイヤの回復には全力を注ぎます。
一例ですが、車掌は、駅での30秒停車を20秒にしドアを閉め時間を縮め、運転士が阿吽(あうん)の呼吸で回復運転に努めます。この運転を繰り返せば、首都圏における1分の遅れは6駅あれば確実に回復できるという細かな計算です。
しかし、欧州の鉄道では10分程度など、遅延の範疇に含まれていません。
1975(昭和50)年5月、英国エリザベス女王ご夫妻が国賓として来日した際、京都、伊勢神宮などご訪問の帰路に新幹線をご利用になられました。
英国は鉄道発祥国でもあり、女王陛下は新幹線に大変ご興味をおもちで、予定を変更して入線を見学されたほどです。
しかし、当日は大雨の影響で徐行区間があり、名古屋到着ですでに3分遅れ。浜名湖で4分と遅れるばかりでした。「日本の新幹線は時計より正確と聞いています」という女王陛下のお言葉に、国鉄関係者は焦るばかりです。
新幹線は、安全運転を維持するためATC(自動列車制御装置)によって速度が制御されていますが、運転士はATCによる自動的にブレーキがかかる時速210㎞を超えない209㎞運転をキープし、見事に東京駅には定時に到着させました。
しかも、三島付近では、青空も戻って美しい富士山をご覧いただくため、速度を落として運転したといいうから驚きです。
これぞまさに職人芸の披露でしたが、これは日常、秒単位で運転を行っている日本の鉄道運転士が、いかに優秀なプロ集団であるかの証明でもあります。 到着後、夫君のフィリップ殿下は「快適な旅行でした」と述べられ、女王陛下も笑顔でうなずかれ、新幹線に大変満足されて夕刻の特別機で離日されました。