ちょっと待った! インプラントに潜む「5つの危険」
安全性に対する疑問の声が声高になっているが、インプラントを勧める歯科医師は多い。「やるとヤバいインプラント」を現役歯科医師に聞いた。
高齢者には危険だらけ
死亡事故や使い回しの発覚、メディアのバッシングなどで、バブルが崩壊したインプラントだったが、ここにきて復活の兆しが出ている。高齢者をターゲットに営業をかけ、それがある程度、功を奏しているのだ。しかし、サイトウ歯科医院(東京・渋谷)の院長・斎藤正人さんは「お年寄りにインプラント治療を行うのは問題だ」と憤る。
「インプラントは金属の棒を顎の骨に埋め込むんですが、骨は年齢とともにどんどん細くなっていく。痩せ細ったお年寄りの顎に金属棒を打ち込んだらどうなるか。危険なのは明らか。そこまでして儲けたいんでしょうか」。
もうひとつ、ブームを牽引しているのは激安インプラントの登場だ。1本30万円台が相場だが、7万円を謳っている歯科医院もある。
「韓国や中国の闇ルートから、かなり粗悪なインプラント製品が入っているんです。こうしたものを使ったら、長持ちするとはとても思えない」。
いずれにしても、インプラントを入れるには歯を抜く必要がある。
「インプラントをすべて否定するつもりはありませんが、まだ使える自分の歯を抜いてまで入れなければならないのか、首を傾げざるをえません」。
代表的なヤバいインプラント
広告にインプラント
専門医の肩書を使うのは医療広告ガイドラインに違反しているが、平気で使うモラルの低い歯科医が少なくない。
高齢者にインプラントを勧める
「天然の歯と変わらず、ごはんがおいしい」といった虚偽の謳い文句で70 ~80代のお年寄りに平気で営業をかけて売りつけている。
安すぎるインプラント
これまでの1本40万円前後から05年一気に10万円の格安が登場。それが今や7万円である。「安かろう悪かろう」は言うまでもない。
「骨がある内にやりましょう」と言う
高齢者に対する常套句だが、骨が薄くなっているところに埋め込むので、はずれたり、神経を傷つけたりとトラブルが続出している。
多くの術数を誇示する
2007年に死亡事故を起こした東京駅近くの歯科医は3万本以上のインプラントを手がけたことが売りだったが、技術的には未熟だった。
取材・文/田中幾太郎 イラスト/内山弘隆