がん、心筋梗塞、脳卒中…命を脅かす怖い病気は人間ドックでは発見できない
糖尿病専門医・牧田善二氏が考える、一生涯健康で生きるために必要なこと③
◇「正しい検査」を受ける習慣を
「長寿のために生活スタイルを改める」と言うと、まず頭に浮かぶのが、食事や睡眠のことだろう。それらについてものちほど述べるが、私がまず提唱したいのは、「正しい検査」を受ける習慣だ。
あなたが、会社の健康診断や人間ドックを受ける理由はなんだろう。おそらく、健康で長生きしたいからだ。しかし、いま行われている検査では、からきし不充分なのだ。
多くの人が毎年受けているのは、血液検査や血圧測定、心電図などに加え、がんを見つけるための、肺のレントゲン、腹部超音波、胃のバリウム、便潜血(べんせんけつ)といったところではないか。
糖尿病の人も、そうではない人も、一番怖れるのはがんだろう。しかし、肺のレントゲン、腹部超音波、胃のバリウム、便潜血で早期がんが見つかる可能性は極めて低い。
本当に健康で長生きしたいと考えるなら、ぜひ受けてほしいのが、胸部と腹部のCT、胃腸のカメラ、脳のMRIだ。この三つを年に一回やっておけば早期発見が可能となり、がんをはじめ、怖い病気で命を落とす危険性が格段に下がる。
◇激増している大腸がんと肺がん
・がん死亡予測数
1位 肺 77,200人
2位 大腸 50,600人
3位 胃 49,400人
4位 膵臓 32,800人
5位 肝臓 28,900人
・がん罹患予測数
1位 大腸 135,800人
2位 肺 133,500人
3位 胃 133,000人
4位 前立腺 98,400人
5位 乳 89,400人
上の数字が示すのは、国立がん研究センター「がん情報サービス」より発表された二〇一五年の日本人の、部位別がんの罹患(りかん)数と死亡数の予測だ。
かつて、日本人には胃がんの罹患および死亡が多かった。ただし、その大きな原因がピロリ菌であることが突き止められ、かつピロリ菌の駆除法も確立してきたことから、今後は減っていくと考えられる。しかし、いまはまだ罹患数、死亡数とも多いから、注意が必要ながんであることは間違いない。
新たに注目しなければならないのは、大腸がんと肺がんだ。
男女問わず日本人に大腸がんが激増しており、二〇一五年には一三万五八〇〇人が大腸がんにかかると予測されている。罹患者が多いから死亡者も多くなる。
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