あおむろひろゆきのてくてく子育て日記〈第20話〉「それぞれのクリスマスの夜に」
1か月後に向けて始まる“サンタ”の準備
電車の乗り換え口の広場に、ピカピカと輝くモミの木を見つめている子どもがいました。手をつないでいるおかあさんに「サンタさん、来てくれるかなあ」と実に可愛らしい質問をしています。そっか、もうすぐクリスマスなんだね。
今から3年前、子どもが0歳の時にサンタさんデビューをしました。サンリオショップで買った小さな歯ブラシを、クリスマスの夜に妻と子どもの寝ている寝室に忍び込みコソコソと枕元に置こう……とした瞬間子どもと目が合ってオワーッ!と心の中で叫びながらプレゼントを置いたのですが、それを翌朝目覚めた妻に「こんなとこにゴミが落ちてる」とゴミ箱に捨てられたことは、ちょっと苦い思い出です。
去年のクリスマスは張り切ってサンタ服を購入して、ベランダから「メリークリスマース!」と颯爽と登場する予定だったのですが、子どもが熱を出してしまったので粛々とプレゼントを置いただけ。出番の無いまま一年間眠っていたサンタ服、今年は着れるかな……。
ちなみに私にとっても、幼い頃のクリスマスは特別なものでした。毎年、12月になるとサンタさんに手紙を書きます。私はよくばりなのでいつも欲しいおもちゃをたくさん書いていて、それでも欲しかったおもちゃをもらったことは一度もなかったけれど(プレゼントは家族で遊べるボードゲームが多かった)、プレゼントの横に添えられたサンタさんのサインがとても嬉しかった記憶があります。一度だけサンタさんから電話がかかってきた時があって、母に受話器を渡された時はもう、心臓が飛び出そうになりました。受話器の向こう側のサンタさんは、どこか聞き覚えのある、とても優しい声をした人でした。あの時の嬉しそうに笑っていたサンタさんの気持ち、今なら分かる気がします。
そしてどこの家庭でも起こるであろう、サンタさんの正体問題。我が家では小学校3年生の時のクリスマスの朝に事件が起きます。目覚めてすぐにクリスマスツリーまで走っていったけど何も置かれていなくて、父に「おとうさん、今年はサンタさん来おへんかったみたい……」と言うと、「えっ、枕元に置いたで」と言われて「お、おとうさん!」となったという、あっけない終わり方でした。
さて、世界中にいるサンタ達もそろそろプレゼントの準備をし始めている頃でしょうか。私は去年買ったサンタ服を着るために、これからシェイプアップに勤しみます。喜んでくれるといいな。
電車の乗り換え口で会ったあの男の子にも、素敵なクリスマスが訪れますように。