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「プロ現役32年、219勝」――山本昌の忘れられない1勝。6年目のこと。

なかなか勝てなかった若手時代。6年目にあった転機

Q.通算219勝のなかで最も印象に残る勝利とは?

 

 219勝のなかでうれしくなかった勝利なんてひとつもありませんが、思い入れのある勝利はいくつかあります。

 真っ先に思い浮かぶのがプロ初勝利です。

 プロ5年目の1988年に、ロサンゼルス・ドジャース傘下の1Aベロビーチ・ドジャースへ野球留学。ここで芽が出なければ終わりだ、そんな覚悟がありました。幸運なことに、アイク生原さん(故人)という恩師となる人に出会うことができ、アイクさんから親身に野球と向き合うことを教えられ自信と実力をつけることができました。
 そして、帰国後の8月30日、広島戦で中継ぎ登板した私は念願のプロ初勝利を挙げることができたのです。この時点で5年目でしたから、心のどこかでは「絶対に勝てっこない」と感じていたのも事実です。それが勝てた。だから、この勝利はとてもうれしかったのを覚えています。

 この勝利で勢いをつけた私は、88年に5勝0敗、防御率0.55を記録して、星野仙一監督はじめとした首脳陣の方々から少しは信頼していただけたのではないか、という手ごたえがありました。

 前年の自信を実感できたという意味では、翌89年の初勝利もとても印象深いです。

次のページ0勝4敗のまま、勝てないんじゃないか……

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山本 昌

やまもと まさ

1965年8月11日、東京都生まれ。神奈川・日大藤沢高から83年秋のドラフト5位で中日ドラゴンズに入団。プロ5年目、88年の米国への野球留学をきっかけに飛躍し、同年8月プロ初勝利。以後はスクリューボールを武器に活躍する。93年に最多勝利、最優秀防御率のタイトルを獲得すると、翌94年には連続最多勝利と沢村賞に輝く。97年にも最多勝利。2006年9月16日対阪神戦でプロ野球史上最年長の41歳1カ月でノーヒットノーラン、08年8月4日の巨人戦で史上24人目となる通算200勝を樹立。通算581試合に登板し219勝165敗。


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