頭が良くなる睡眠は何時間?死亡率が高くなる睡眠時間は?
専門医•日比野佐和子と林田康隆氏が語る目の新常識<13>
◇元気を回復するための睡眠のコツ
現代生活で酷使され続けている目に休息を与え、元気を回復するには、たっぷり眠るのが一番! とは限りません。もちろん睡眠不足は脳にも体にも、もちろん目にも悪影響があり、蓄積すれば重大な障害を引き起こすことも知られています。
それと「寝る子は育つ」のことわざにある通り、成長期の子どもはたっぷり睡眠を取ることが、さまざまな発達を促します。平均睡眠時間が9〜10時間の子どもの方が、平均5〜6時間の子どもに比べ、脳のなかで記憶や学習を司る「海馬」の体積が大きいという研究データもあるほど。神経の伝達能力や心の発達、それに子どもに多い仮性近視の予防にとっても、睡眠時間は大切です。特にテレビやゲーム、スマホなどの接触時間が長い現代っ子は、長めの睡眠時間と早寝早起き習慣が必要だといえるでしょう。
◇7.5時間以上、睡眠を取っている人は死亡率が高い
一方、大人は1日に6・5~7・5時間がもっとも長寿で、それ以上の睡眠時間を取っている人の方が約30%も死亡率が高い、という大規模調査の結果があります。また長時間眠っても視力が上がる(維持される)とは限らないことがわかっています。
年齢にかかわらず重要なのは、睡眠の質と時間帯です。寝る直前にスマホやパソコン、テレビなどの画面からブルーライトを浴びたり、神経を高ぶらせるカフェインを過剰に摂取したり、熱いシャワーで体温を上昇させたりすると、睡眠の質は低下します。
そして、できることならば、疲労回復と新陳代謝を助ける成長ホルモンがもっとも多く出る22時頃までにはベッドに入ってほしいところです。
そして、お昼寝も長く眠ると深い眠り(ノンレム睡眠)に入ってしまい、体内時計が狂ったり、睡眠と覚醒のバランスが崩れたり、夜寝つきが悪くなったりするので、最適なのは5〜20分、長くても30分以内にしておきましょう。
『1日1分、2週間眼トレ 〜日比野&林田式〜』 (KKベストセラーズ)