「日本は先の戦争で無条件降伏をした」という「虚偽」報道をしている
米国人弁護士が「断罪」東京裁判という茶番 第4回
それに合わせて、「米国人弁護士が『断罪』東京裁判という茶番」を12月16日に刊行予定、来日から40年日本を愛し、知り尽くしたケント・ギルバート氏が米国人の視点からみた東京裁判について論じていく。
日本は、連合国が発したポツダム宣言を受諾して降伏した。そのことを、日本人の多くは、「日本は無条件降伏をした」と、誤解している。いや、嘘を信じ込まされている。
日本は無条件降伏などしていない。
日本は、降伏条件が明示された、ポツダム宣を受諾することで、降伏したのだ。
ポツダム宣言(The Potsdam Declaration)は、昭和二十(一九四五)年七月二十六日に、アメリカ合衆国大統領、イギリス首相、中華民国主席の名において、日本に対して発せられた、全十三か条からなる宣言である。その第五条には次の文がある。
五、我々の条件は以下の条文で示すとおりであり、これについては譲歩せず、我々がここから外れることもない。執行の遅れは認めない。
要するに、ここには連合国が、「この条件から外れるようなことは、絶対にしない」と、書いてあるのだ。
ポツダム宣言は、日本に『条件付き降伏』を求めていたということである。
第七条には、「第六条の新秩序が確立され、戦争能力が失われたことが確認される時までは、我々の指示する基本的目的の達成を確保するため、日本国領域内の諸地点は占領されるべきものとする」とある。
つまり、日本全国を占領することはしない。日本が、われわれの要求する、条件を達成するまで、連合国側は、「いくつかの地点を占領」するという、条件を出しているのだ。
日本全土を占領するとは、どこにも書いていない。アメリカが、日本全国を占領したということも、重大なポツダム宣言違反である。
第十条には、「我々の意志は日本人を民族として奴隷化しまた日本国民を滅亡させようとするものではないが、日本における捕虜虐待を含む一切の戦争犯罪人は処刑されるべきである。日本政府は日本国民における民主主義的傾向の復活を強化し、これを妨げるあらゆる障害は排除するべきであり、言論、宗教及び思想の自由並びに基本的人権の尊重は確立されるべきである」と、書かれている。
「戦争犯罪人」というのは、それまでの戦時国際法によれば、たとえば非戦闘員を殺すとか、一般市民への略奪を行うとか、あるいは女性に対して乱暴をはたらく、あるいは降伏して捕虜となった者を虐待するなどの「戦場犯罪」を意味する。
それまで、国民の指導者に対して、「戦争犯罪人」として、責任を問うたことは、人類史上ただの一度もなかった。だから、日本がポツダム宣言を受諾したときには、当然のことながら「戦争犯罪人」というのは、通常の戦場犯罪をおかした、いわゆる「戦争犯罪者」を罰するものだと、理解していたのである。
それ以外の解釈は全く考えられなかった。前例がないのだから、当然のことである。
さらに、最後の第十三条では、「我々は日本政府が全日本軍の即時無条件降伏を宣言し、またその行動について日本政府が十分に保障することを求める。これ以外の選択肢は迅速且つ完全なる壊滅があるのみである」と、書いてある。ここでの「無条件降伏」とは、「全日本軍」の無条件降伏を要求しているのであって、「日本国」としての無条件降伏はもとめていないのだ。
そもそも第五条には、「我々の条件は以下の条文で示すとおりであり、…我々がここから外れることもない。…」と、書いてある。意訳すると、「われらの条件は左の通りである。われらはこれらの条件より離脱することはない」と、宣言しているのである。
そう宣言しながら、日本全土を占領し、極東国際軍事裁判を行っている。連合国による日本の占領政策は、ポツダム宣言の重大な違反なのである。
日本は、天皇を人質にとられた状況だった。「天皇を捕えて戦争犯罪人として裁く。命も保障できない」と脅迫されたら、二千六百年余りに及ぶ「国体」の護持が、最大の望みである日本人は、何の文句も言えなかった。
斯くして、アメリカの国際法への重大な違反は、自ら発した『ポツダム宣言』に違反するところからはじまった。
日本の大新聞をはじめとして、多くのメディアは平然と、「日本は先の戦争で無条件降伏をした」という「虚偽」報道をしている。
今の日本では、人々が深く考えることを止めてしまっているのか、歴史をなおざりにしているのか、大新聞や、テレビの報道を鵜呑みにしてしまっている。
もう一度言うが、「日本国は無条件降伏をしていない。日本国の軍隊のみが無条件降伏した」のである。しかし、占領軍は、自らが宣言した日本の降伏条件を、一方的に破ったのだ。だから日本が「無条件降伏をした」という、ことにして、虚偽情報を蔓延させた。