腸から食べ物が漏れるリーキーガット症候群が増加中!
体にいい食べ物でも毎日食べるとアレルギーに!
遅発型アレルギーのほとんどは〝食べ過ぎ〟が原因
いつも何かしらの不調を感じている人は「遅発型アレルギー」の疑いがある。症状などからはわかりにくい遅発型フードアレルギーは、検査を受けてみないと原因(アレルゲン)がわからない。「遅発型アレルギー」に治療にとりくむ澤登雅一さんが院長を努める三番町ごきげんクリニック(東京都千代田区)では、次のような検査を行っている。
「少量の血液を採取してアメリカの専門機関に送り、96品目の食品のアレルギー反応を調べます。アレルギー反応のレベルは0〜6の7段階に分かれていて、2以内は問題ありませんが3は中程度の反応、4〜6は強いアレルギー反応とされています。血液を送付後、約4週間で96品目に対するアレルギー反応がグラフの形で送られてくるので、どの食べ物にアレルギーがあるのかがすぐにわかります」
検査結果から、遅発型フードアレルギーには2つの特徴的なパターンがあると澤登さんは言う。
「ひとつは〝食べ物そのものが主な原因のパターン〟、もうひとつは〝複数の食べ物に強い反応が出るパターン〟です。卵やヨーグルトなど特定の食べ物に対して強い反応が出る前者は、ほかの食べ物に対するアレルギー反応はほとんどみられません。ところが、後者は強い反応がみられる食べ物が多いのです。ひどいケースではほとんどすべての食べ物に中程度以上の反応がみられました。こうした、複数の食べ物に強いアレルギー反応が出る状態はリーキーガット症候群と呼ばれ、アメリカでは近年、注目されています」
リーキーガット症候群は小腸の粘膜に軽い炎症が続き、腸粘膜のブロック機能が破綻して、十分に消化されていない食べ物が血液中に送り込まれ、それに対して免疫機能が作用し、体内に炎症を引き起こしてさまざまな不調を招くと考えられている。澤登さんは経験から「遅発型フードアレルギーの10人に1人はリーキーガット症候群の傾向があると感じています」と言う。
遅発型フードアレルギーの三大原因と呼ばれているのが、「卵」「乳製品」「パン」。三番町ごきげんクリニックの検査でレベル4以上の反応が出た食べ物をまとめたデータをみると、特に卵と乳製品が上位を占めている。
澤登医師はこう言う。
「卵やヨーグルト、牛乳は健康によい、毎日食べたほうがいいというイメージがあります。健康のためにと食べているものがアレルギーをもたらすのですから本末転倒です。また、テレビ番組などでトマトが脂肪を減らす、ダイエットにはバナナやりんごがいいと紹介されると、毎日同じものを食べる方がいますが、こうした行為は遅発型フードアレルギーのリスクを高めてしまいます。食事はいろいろな食べ物をまんべんなく摂るようにしましょう」
フードアレルギーでは、強いアレルギー反応をもたらす食べ物を除去する(食べない)ことで症状が改善される。〝食べ物そのものが主な原因のパターン〟であれば、半年から1年ほどアレルギー反応が強く出た食べ物を避ける、もしくは減らすとよい。例えば、1回食べたら数日は同じ物を食べないようにするだけでずいぶん違う。すべてのアレルギー反応に顕著な症状が出るわけではないが、アレルギー反応の強い食べ物を控えると「よく眠れるようになった」「疲れにくくなった」など、何かしらの変化を感じるそうだ。
慢性的な不調に悩まされている人は、遅発型フードアレルギーが疑われる。それまで原因不明だった不調が、食べ物をコントロールすることで改善できるかもしれない。リーキーガット症候群の場合は、すべての食べ物を避けると栄養のバランスが崩れてしまう。食べ物が悪いわけではなく、毎日食べるからアレルギー反応が強く出るだけで、食べる回数を減らせば症状は落ち着く。症状が軽くなってきたら少しずつ食べる量や回数を増やしていこう。
監修:澤登雅一さん
三番町ごきげんクリニック院長
1992年東京慈恵会医科大学卒業後、日本赤十字社医療センターで勤務。アメリカの最新情報を取り入れ、病気にならないための医療を実践。