W杯アジア最終予選。日本代表にとって「結果と内容が一致していない試合」ではなかった【岩政大樹の現役目線】
タイ代表の善戦が光ったのか、日本代表が悪かったのか。それとも……?
結果と内容が一致していないように見えた理由
先日行われた、日本対タイの一戦はとても面白い一戦でした。「面白い」と言ったのは、サッカーというものがいかに実態の見えにくいスポーツであるか、ということをよく表していたと思うからです。
この試合を観た方は「思ったよりタイが善戦した」と思われたのではないでしょうか。そして、「結果と内容が一致していない」という見方がされたと思います。
しかし事実は、4-0という日本の大勝でした。
確かにタイは善戦したと思います。勇敢に戦ったと思います。しかし、結果に驚きはありません。
結果にはいつも理由があります。
今回は、結果を大きく左右する理由のひとつ、サッカーの「流れ」について考えてみたいと思います。
この試合、タイは予想とは違い、積極的にボールを奪いにきました。アグレッシブに試合に入り、高めのラインを設定しました。そのため、戦前に予想されたようなタイが押し込まれる展開にはなりませんでした。
タイが中盤でボールを奪うことも何度かあり、開始して5分間はむしろ日本の方が戸惑いを見せていました。
タイの選手たちは「いけるかもしれない」と思ったのではないでしょうか。
日本の香川選手の1点目は、そんな矢先に生まれました。
前がかりにきているタイのディフェンスラインの裏をつき、最後は香川選手の技術と冷静さであっさりと先制しました。
その後も同じような展開で試合が進みました。
「タイ代表、なかなかやるな」と思ったら日本が追加点を奪う、というデジャブのような展開で、終わってみれば4-0。
もちろん決定力に差はありました。決定力とは、ゴール前のゴールを割るか割られるかの「際」での技術と冷静さです。そして、それは攻撃側だけでなく、守備側にも必要で、そのゴール前の際の勝負において、日本とタイには差があったと思います。