今さら聞けない「ビットコイン」。「ゴールド」との違いとは?
ブロックチェーン入門⑥
ビットコインには、どうして価値がつくのか?
「ビットコイン」が、先日、金の最高値を超えたというニュースが出るなど価値の高まりが報道されています。ビットコインとは暗号通貨(仮想通貨)の代表例で、ブロックチェーンと呼ばれる技術をもとにした電子マネーです。
ビットコイン以外の暗号通貨をアルトコインとも呼び、多く取引されているものに「イーサリアム」や「リップル」などが有名です。それらも直近で数倍に価値が跳ね上がるなど注目を浴びています。
では、そもそもどうしてこのように価値がつくのでしょうか?
ビットコインは、ブロックチェーン上のただの電子データ
語弊を恐れずに言えば、ビットコインというものは、ブロックチェーン上に記録されたただの電子データに過ぎません。
ブロックチェーンについての詳しい説明はここでは割愛しますが、ブロックチェーンとは分散型の取引台帳です。この取引台帳には、ビットコインがどのアドレスにいくらあるかといった記録がなされています。
つまりは、2017年6月5日時点で、アドレスAに1BTCあるといった内容です。通帳に記載されている内容を想像していただくと理解しやすいかもしれません。通帳ですと、通常は自分の取引の内容だけが記録されていますが、このビットコインの取引台帳には世界中のビットコインを用いた取引の内容が記録されています。
さらに、この取引台帳は、技術的に改ざんが困難であり複数の主体が分散して管理しています。
ビットコインの価値の裏付けとは
さて、このブロックチェーン上にビットコインとは数値として記録されているわけですが、どうしてそのビットコインに価値がつくのでしょうか。
ビットコインとよく比較される「金」を例に考えてみましょう。
金は、キラキラと美しい光を放っており、鑑賞物としても素晴らしいものです。現在採掘されている金は、約15万トンほどで、今後掘り出せる金は、6~7万トン程度と言われています。
さらに金は、科学技術が発達したとはいえ、人工的に錬金することができないと言われています。つまり、当たり前ではありますが、金は数に限りがあるわけです。
そして、金を偽造することも複製することもできません。
数に限りがある金に対して、それを上回る人々が欲しいと言っています。そのため、どうしても金が欲しいという人は、他の人よりも多くのお金を支払って、手に入れようとするでしょう。
さらにそれよりも高いお金を払う人が現れると、段々と金自体の価値が高まっていくことになります。
人気のアーティストのライブのチケットが高額でやり取りされていることを想像すると、イメージしやすいのではないのでしょうか。
有限のものに対して、高いお金を払ってでも欲しいという人が増加することで、価値が高まっていくわけです。
その一方で、みんながいらないと思えば価値はなくなってしまいます。要は、需要と供給のバランスによるわけです。
金は埋蔵量に限りがあるので、その有限という条件を満たしており、価格も世界中の需要と供給のバランスによって決まります。
さて、ではビットコインはどうでしょうか。
ビットコインは、約2100万BTCまでしか発行されないとプログラムで決まっており、現在(2017年6月6日段階)では、約16300万BTCほどがすでに発行されています。
また、金は目の前に金という現物がありますが、ビットコインはブロックチェーン上に記録がされているだけです。
物理的なモノは存在しません。しかし、技術的に改ざんや複製が困難なため、現物ではありませんが、有限であるということについて信頼が可能です。
金は、もしかすると、今まで人類が見つけられていなかった金の埋蔵地が発覚して、埋蔵可能量が倍増するかもしれません。しかし予めプログラムが決められているビットコインには、そうしたことが起きないわけです。
これは、多少ビットコイン贔屓かもしれませんが。
このようにビットコインもデジタル上に存在する有限なものであるため、世界中の需要と供給のバランスによってその価格が定まっているのです。
そのため賛否両論はありますが、一部ではビットコインを、デジタルゴールドと呼ぶこともあります。
以上が、ブロックチェーンシステムを使った暗号通貨「ビットコイン」の簡単な説明です。
ブロックチェーンとは何だろう? そうした興味を持った方たちには、実際にそのシステムの一端に触れていただくことも大切だと思います。