奈良高専が狙う「3年連続のロボコン大賞」
強豪校は「秘密道具」の苦難をどう超えていく?
◆最強の攻撃ロボットと守備ロボットで闘う
10月22日にロボコンの近畿地区大会を控える奈良高専。
2つのうち1チームのリーダーを務めるのは、昨年の全国大会準決勝進出チームを率いた濱口さん。3年連続のチームリーダーだ。奈良高専は4年生で引退する学生が多いなか、最終学年の5年生として、泣いても笑っても最後の高専ロボコンに挑む。一昨年(2015年)は地区大会で敗れ、その雪辱を果たそうと臨んだ昨年(2016年)は、ロボットの性能で勝りながらも勝負で負けた。積年の悔しさを、高専ロボコン30年の節目の年に果たせるかどうか―。チームのメンバーは、濱口さんを除くとみな、合同ロボコンで力を見せた2年生だ。若いメンバーを引っ張っていくリーダーシップも求められる。
「ロボットどうしの接触も許された対戦型の競技ですし、たとえば相手の妨害を乗り越えられるような仕掛けとか、観客が見ていて楽しめるロボットをつくりたいですね」
濱口さんが目指すは、「3年連続のロボコン大賞」だ。
後者の4年生主体のチームは、昨年の大会で全国出場を逃したチームのリーダーだった樽井天さん(電気工学科)が務める。一昨年・昨年と、濱口さんと同じチームを組んできた。
久米さんも、今年は樽井さんとチームを組む。「最後になるかもしれない4年生の大会を、自分たちの学年で戦いたい」と久米さんは思いを語る。
樽井さん・久米さんが狙うのは、最強の攻撃ロボットと守備ロボットをつくることだ。
最強の攻撃ロボットは、最強の守備ロボットの守りをどうかいくぐるのか。最強の守備ロボットは、最強の攻撃をどうかわすのか―。
これはまさしく、「どんな盾でも貫く矛」と、「どんな矛からも守る盾」とを戦わせる、「矛盾」の語源の発想そのものだ。樽井さんは地区大会で敗れた悔しさを晴らすため、久米さんは全国大会準決勝で敗れた悔しさを晴らして王座奪還を目指すため、あえて険しい道を突き進もうとしている。
〈『闘え!高専ロボコン ―ロボットにかける青春―』(KKベストセラーズ)より構成。本書では写真でふりかえるロボコンの30年史も紹介されている〉