【週末妄想デート】川口春奈と銀座で、大人ごはん。
もしもあの美人女優と週末ごはんに出かけたら…? 週末オトコの妄想を叶える夢企画!
あの子を誘って、いつもよりちょっといい店へ。
よく食べる女の子は可愛い、という真実。
銀座一丁目の交差点を一本入った路地に、その店はあった。会社からの帰り道は空腹なこともあって、美味しいお店がよく目に入る。暖かな光が窓からこぼれる軒先を通ると、ピザの焼ける香ばしい匂いにいつも鼻腔を刺激される、細長い4階建ての一軒家。いつか、こんな素敵な店に好きな女の子を連れていけたら…エスコートのできる男ってやっぱりスマートでかっこいいじゃないか。
イタリアンが好きらしい、という情報を聞きつけ、勇気を振り絞って声をかけたのは先月の終わり。「一階に青いピッツァ窯があってね、そこで焼いてくれるんだよ」とスマホで仕入れた巷説を述べながら少し急な階段を上がり、3階へ。真ん中よりも端の席のほうがいいかなと、窓側の席を予約しておいた。いつもはチェーン店ばかりだから、こういうコース料理はほぼ初めてで緊張する。ナイフやフォークの持ち方はこれで合ってるかな…とおそるおそる手を伸ばすと、「イタリアンって、手で食べたほうが楽なときあるよね?」と屈託なく海老の尻尾をつまんで、彼女は微笑んだ。まるでこっちの慣れていなさを見透かされたようで、少し恥ずかしくもあり、内心ホッともしたけれど。
「うわ~、なんか美味しそうなのが来た!」と、供された細麺のパスタを前に彼女の顔がまた、ほころぶ。
魚介のソースをふんだんに使い、その上には赤いチェリートマトが彩りを添えている。くるくると器用にフォークでパスタを絡めとり、口元に運ぶ様子を思わず目で追っていると、「もう、そんなにじっと見られると食べづらいよ~」と笑われた。女の子は自分が食べている姿を見られるのを恥ずかしがるけど、男の目線からしたらこれほど可愛い瞬間はないわけで。こちらとしては瞼の奥にしかと焼き付けておきたいのだ。
ドルチェが運ばれてくるころには頬もほんのり赤らんで、いつも会社で目にする彼女とは比べ物にならないリラックスした表情に、今日のエスコートの成果があらわれた気がして、安堵する。白い壁とウッディな調度品で統一された店内で、この上なく幸福な時間は瞬く間に過ぎて行った。「美味しくて、食べ過ぎちゃった」と机に腕をもたれながら、「私、最近はいつも行くお店が決まっちゃってるから、今日は新鮮だったなあ。ありがとう」。新しい通勤ルートを開拓しようと、僕はそっと決意を新たにした。