「パラダイス文書」疑惑。漫画家・鳥山明さんに罪はない
【パラダイス文書】を橘玲氏が徹底解説3/3
本人も寝耳に水!? パラダイス文書に鳥山明や鳩山元首相の名前も
トオル…パラダイス文書が流出したことで、そこに名前が載っていた著名人も報道されましたよね。確か、漫画家の鳥山明さんも突撃取材を受けていました。
シズカ…でも、前回教えていただいたように、実際に節税のためのスキームを考えてお金を動かしているのは、コンサルや銀行の人たちなんですよね。鳥山さんの場合も、具体的な運用についてはタッチしていなかったってこと?
橘…このケースは、絶税目的で海外の中古不動産に投資する米国の事業体に出資したところ、この事業体がバミューダに登記していたことで名前が出てしまったようですね。航空機や船舶などがよく使われますが、リース用の商品を購入して減価償却費を計上するという、それ自体はよくある節税スキームです。
シズカ…なるほど。それで会社の利益が少なくなれば、出資者たちも赤字になるわけだから節税に繋がるってわけね。本人は「税務面はおまかせにしていますのでお話しできることはありません」と回答したらしいけど。
橘…本人にはタックスヘイブンを使っていたという意識はないし、合法的な節税だと聞かされていたでしょうから、実名報道すべきかも疑問なケースだと思います。
トオル…税理士あたりに丸投してたら、本当に寝耳に水だったかもね。あと、パラダイス文書には鳩山由紀夫元首相の名前も載っていたそうですね。
橘…香港の上場企業の名誉会長に就任したら、その会社がたまたまバミューダに登記していて名前が出たというケースですね。これなどは本人もまったく意味が分かってないだろうし、いい迷惑ですよね。
トオル…でも、「国民の負担を減らします」みたいなことを言っている政治家が、タックスヘイブンを使っていたらなんだか示しがつかないような…。
橘…パラダイス文書の前に流出した「パナマ文書」の騒動では、名前が載っていたアイスランドのグンロイグソン首相が辞任しています。今回は現役の政治家の名前がほとんど出ませんが、タックスヘイブンを使った節税が割が合わないとわかったからではないでしょうか。