フェイクニュースに騙されないために! 世界を動かした「偽書(フェイク)」の歴史が面白い
メディアリテラシーを高めるための「現代の必須教養」
なぜ人間はかくも騙(だま)し、騙されるのか?
フェイクニュース時代に
メディアリテラシーを高めるための必須教養が
『世界を動かした「偽書(フェイク)」の歴史』だ!
「ユダヤ人大量虐殺の根拠はなんと一冊の「偽書」にあった……」
本書では二十九の古今東西の「偽書」を挙げ、それがどのように世に出て、信じられ、「偽書」と暴かれたかを紹介する。
なかには、「偽書」と知らないで読んでいた本もあると思う。この世界は奥が深く、「偽書」と断定できないものもけっこうあるのだ。(中略)
巷にたくさんあるフェイクニュースに騙されないためには、人類がいかに「偽書」に騙されてきたかを知る必要がある。
フェイクニュースの真贋を見抜く眼力を養うために<br>本書を役立てていただきたい。————というのは本音だが、実はもうひとつの本音もある。
「偽書」は「読み物」として面白いのである。もちろん、「偽書」と知ったうえでの話だが、多くの人が騙されるだけあって、実によくできている。そういうわけで、不謹慎かもしれないが、本書は「面白い本」のガイドブックでもある。
CONTENTS
はじめに
序章 偽書とは何か—— 虚構と偽書の違い
第一部 歴史を変えた五つの偽書
Fake1◉ホロコーストを招いた史上最悪の偽書 ————「シオン賢者の議定書」
Fake2◉日本軍のシナリオか、捏造か ————「田中上奏文」
Fake3◉フランス革命の原因のひとつになった偽の手紙 ————「マリー・アントワネットの手紙」
Fake4◉史上最大の土地譲渡詐欺 ————「コンスタンティヌスの寄進状」
Fake5◉世界的名著が「間違いだらけ」の理由 ————「東方見聞録」
第二部 専門家ほど騙される偽書
Fake6◉戦国時代を見てきたように語る偽書 ————「武功夜話」
Fake7◉反天皇派が信じたがった大津波で消えた幻の王朝 ————「東日流外三郡誌」
Fake8◉文豪の未発表戯曲の真贋 ————「シェイクスピア文書」
Fake9◉冷戦下の謀略か、真実の告白か ————「ショスタコーヴィチの証言」
Fake10◉何から何までフィクションの動物学の専門書————「鼻行類」
Fake11◉新発見のバロック時代の名曲はみな現代の作品————「クライスラーの「名曲」」
Fake12◉でたらめな台湾の地理と歴史の本が作ったアジアのイメージ————「台湾誌」
Fake13◉大新聞社がでっちあげた架空インタビュー ————「伊藤律インタビュー」
Fake14◉ 英雄伝説を彩る偽書————「義経=チンギス・ハーン説」
Fake15◉ピアノの詩人の捏造された大恋愛————「ショパンのラブレター」
Fake16◉大富豪の生涯の謎 ————「ハワード・ヒューズ自伝」
Fake17◉世紀の大発見か、史上最大の偽書か ————「死海文書」
第三部 偽書の宝庫「古史古伝」
Fake18◉壮大なスケールの神話か歴史か、それともフィクションか ————「竹内文献」
Fake19◉富士山にまつわるもうひとつの古代史————「富士宮下文献」
Fake20◉鎌倉時代に編纂されたらしい超古代史————「上記」
Fake21◉神武東征にまつわるもうひとつの歴史————「物部文献」
Fake22◉聖徳太子が消そうとした歴史 ————「九鬼文書」
Fake23◉全七十二巻の超大作偽書————「先代旧事本紀大成経」
Fake24◉最古の史書への疑惑————「古事記」
Fake25◉ヨーロッパにもある「もうひとつの古代史」————「ウラ・リンダ年代記」
第四部 SFのような偽書
Fake26◉ナチス・オカルティズムの原典 ————「秘密の教義(シークレット・ドクトリン)」
Fake27◉聖徳太子が記した予言の書 ————「未来記」
Fake28◉幻の古代文明の記録————「失われた大陸ムー」
Fake29◉宇宙人と遭遇した男の実録————「空飛ぶ円盤実見記」
以上29の偽書(フェイク)の正体と
本書で言及された現代の30番目のフェイクとは??
《著者略歴》
中川右介(なかがわ・ゆうすけ)
作家、編集者。1960年東京都生まれ。早稲田大学第二文学部卒業。出版社勤務の後、アルファベータを設立し、代表取締役編集長として雑誌『クラシックジャーナル』、音楽家や文学者の評伝や写真集の編集・出版を手掛ける(2014年まで)。その一方で作家としても活躍。クラシック音楽の他、歌舞伎、映画、歌謡曲、漫画、ミステリなどにも精通。膨大な資料から埋もれていた史実を掘り起こし、歴史に新しい光を当てる執筆スタイルで人気を博している。著書に『ヒトラー対スターリン 悪の最終決戦』(ベスト新書)、『悪の出世学 ヒトラー、スターリン、毛沢東』『カラヤンとフルトヴェングラー』(幻冬舎新書)、『冷戦とクラシック』(NHK出版新書)、『戦争交響楽』『阿久悠と松本隆』(朝日新書)、『山口百恵』『松田聖子と中森明菜』(朝日文庫)、『江戸川乱歩と横溝正史』(集英社)、『歌舞伎 家と血と藝』(講談社現代新書)、『角川映画1976-1986』(角川文庫)など多数。