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「児童相談所」が抱える深刻なジレンマ

「セックスワークサミット2017秋 」第3部レポート 第1回

性風俗で働く人のための無料生活・法律相談サービスを行っている「風テラス」。その活動に携わる弁護士の安井飛鳥さんより、近年メディアなどで関心が高まっている「社会的養護」の現状と、性風俗との関係について語っていただいた。

 私はもともと学童保育の指導員として働いていて、そこから弁護士を目指すようになりました。現在は弁護士・社会福祉士・精神保健福祉士として仕事をしていて、児童相談所で非常勤の仕事もしています。専門は子どもや若者に関する分野です。

 虐待を受けた子どもを保護する『子どもシェルター』のNPOの運営にも関わっており、最近は芸能人に関する権利擁護のための取り組みを始めたりもしています。その一方で、風テラスの相談員として、性風俗で働く人たちの相談支援にも関わっています。

 非行、障がい、精神保健、芸能、性風俗と元々全ての分野に興味があったわけではありません。子どもや若者の支援をしていると色々な問題にぶつかります。それらの問題を解決するために、必要な知見を身に着けようとすると結果として色々なことに関わるようになり、ジェネラリストにならざるを得なくなる・・・という状態です。資格や活動領域が多岐にわたっているため、「変人」扱いされることも多いです。

 今回は児童福祉・少年司法そして風テラスの立場から、性風俗の世界で働く子ども・若者たちと社会的養護のこれからについて、どのように考えていけばいいのかお話ししたいと思います。

 さて、児童相談所で働いている立場で、こういうことをいうのも何なのですが、私は『社会的養護』という言葉があまり好きではありません。『社会的養護』という言葉は、法律でカチッとした定義があるわけではなく、関係者の間でも定義が定まっているようで定まっていない部分があります。

 厚生労働省のホームページに書かれている内容を要約すると、「公的な責任で、虐待を受けている児童についての保護・支援をする」とされています。社会的養護≒児童福祉という意味合いで使われることが多いのかなと思います。『社会』という言葉を大きく打ち出しているわりには、結局『児童福祉』の枠の中での話になりがち。『社会的包摂』という言葉がありますが、それに比べると名前負けしているのではと思うことがあります。

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「セックスワーク・サミット2017冬 「つながる風俗女子」+シンポジウム「みんなでつくる『適正風俗』」(主催:一般社団法人ホワイトハンズ)が、2017年12月3日(日)に、東京都渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターにて開催されます。

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坂爪 真吾

さかつめ しんご

1981年新潟市生まれ。一般社団法人ホワイトハンズ代表理事。東京大学文学部卒。



新しい「性の公共」をつくる、という理念の下、重度身体障害者に対する射精介助サービス、風俗店の待機部屋での無料生活・法律相談事業「風テラス」など、社会的な切り口で、現代の性問題の解決に取り組んでいる。2014年社会貢献者表彰、2015年新潟人間力大賞グランプリ受賞。著書に『セックスと障害者』(イースト新書)、『性風俗のいびつな現場』(ちくま新書)、『はじめての不倫学』(光文社新書)などがある。


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