知ってそうで案外説明できない「美術用語」【西洋美術 篇】
日本の美術館が10倍楽しくなる話④
「ルネサンス」や「肉筆画」など、聞いたことはあるけれど、実はよくわかっていない……そんな美術用語をわかりやすくご紹介。今回は西洋美術篇。
【祭壇画】(さいだんが)
カトリック教会や礼拝堂で祭壇の上や背後に飾られる絵画のこと。
聖書の場面などを絵解きする壁画とは異なり、聖母子と聖人たちを表す礼拝図が描かれる。複数の絵を組み合わせたものが多く、2枚ならディプティック、3枚はトリプティック、4枚以上になるとポリプティックと呼ばれる。左右対称が重視されるのも特徴だ。
【ジャポニスム】(じゃぽにすむ)
19世紀後半のフランスを中心に広がった美術運動。日本の美術品が、印象派の絵画やアールヌーボーの工芸に大きな影響を与えた。特にモネやゴッホらは浮世絵に関心を寄せ、作品作りに生かしている。そのブームは、1878年のパリ万博で頂点に達するが、他の異国趣味と同様、20世紀に入ると衰退していった。
【テンペラ】(てんぺら)
鉱物性の顔料を細かい粉末にして、卵の黄身と混ぜて作る絵の具のこと。主に板に描くための絵の具として中世に作られた。すぐに乾くのでおおまかに描いたりぼかす技法はできず、細かい筆致で少しずつ塗る技術と計画性、気の長い取り組みが必要とされる。描き直しも難しいため、素描力の正確性も求められた。
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