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日本マクドナルド伝説の創業者「社長に〈私〉は存在せず、〈公〉しかない」

「公私混同」などどいう言葉は古い。

公私混同という考えが出てくること自体が、日本のレベルが低い証拠。そう喝破したのは、「日本マクドナルド」を創業した藤田田氏。一体どういうことなのか。著作『クレイジーな戦略論』より紹介しよう。

■公私混同はレベルが低い証拠だ

 私は、社長には〈私〉は存在せず、〈公〉しかないと考えている。だから、公私混同が生じるのは、一般の人たちの間である。

 公私混同は、もちろんいいことではない。〈公〉と〈私〉の間に線を引き、はっきりと区別しなければならない。

〈公〉と〈私〉の分け方は、時間で分ければいい。勤務時間中が〈公〉で、勤務時間外が〈私〉だと区別をつければいい。社長に〈公〉だけあって〈私〉がないというのは、社長は24時間、勤務時間だと思うからである。

 社員は勤務時間中に〈私〉をもち込まず、勤務時間後は〈公〉をもち込まなければ、公私混同ということはなくなってしまう。

 私は文明のレベルが高くなると、当然、こうした公私混同などという問題は解決されると思っている。OLにタバコを買いにいかせたり、部下に引っ越しの手伝いをさせたりして、それを勤務評定に加味するのは低次元の話である。

 時代が進み、次元が高くなると、そういったことはなくなってしまう。それこそお歳暮、お中元もなくなるのではないか。

 日本で、公私混同が問題になるということは、日本の次元がいかに低いかを物語っている。ビジネスの最先端では、公私混同はあってはならないのだ。また、公私混同を論議しなくてはならないような前近代的なレベルの低いことではしょうがない。

 わが日本マクドナルドでは、盆暮れのボーナスは社員にだすが、もう一回、決算期にもボーナスをだし、これは社員の奥さんに支給している。【参照:“奥様ボーナス”制度なるものも。日本マクドナルドの福利厚生がすごかった!

 私がそういうと、それは公私混同ではないかという人がいるが、これは公私混同ではない。

 人間社会の基本単位は夫婦である。特別な理由で結婚しない、あるいは結婚できない、特殊な人を除いて、人間は結婚し、子供をつくり、つぎの世代にバトンタッチをして人生の幕を閉じる。だから、夫婦が社会の一単位である。

 とすると、夫が働いて会社に貢献できるのは、夫のために食事の仕度をしたり、お風呂の用意をしたりして、夫が働きやすいようにしている妻の功績に負うところが大である。ボーナスも月給も、極論すれば、妻に半分だすべきである。

 そう考えて、せめて決算期のボーナスだけは、社員の奥さんに支給している。だから、この奥様ボーナスは、けっして公私混同などといった低次元の問題ではない。

『クレイジーな戦略論』より構成)

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藤田 田

ふじた でん

「日本マクドナルド」創業

1926年大阪生まれ。旧制北野中学、松江高校を経て、1951年東大法学部を卒業。在学中GHQの通訳を務めたことがきっかけで「藤田商店」を設立、学生起業家として輸入業を手がける。1971年、米国マクドナルド社と50:50の出資比率で「日本マクドナルド(株)」を設立。同年7月、銀座三越1階に第1号店をオープン。そこからハンバーガー旋風を巻き起こし日本人の食生活を変えていく。「価格破壊」など革新的な手法を次々と展開した。のちに「日本トイザらス」も設立。2004年没。孫正義氏、柳井正氏ら、日本を代表する企業を率いる経営者たちに影響を与えたとされる。『ユダヤの商法』『勝てば官軍』『Den Fujitaの商法』など数々のベストセラーを残した。長く品切れが続いていたが2019年4月に完全復刊する。


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