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安倍晋三とプーチンが考える「世界のシナリオ」とは?

カリスマ政治家の思考から見抜く、世界の動き

オバマ大統領が現職の大統領として初めて被爆地・広島を訪問したことを受けて、さまざまな意見や考察が飛び交っています。このように、現在の政治はさまざまな問題が複雑に絡み合っており、理解するのは容易ではありません。
社会評論家・岡田斗司夫氏がそんな政治の世界を「カリスマの世界観」からわかりやすく読み解きます!

プーチンは世界征服をたくらんでいる?

写真提供/Pixabay

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、クリミア半島をロシア領に編入しようとしたり、欧米がテロ支援国家だと名指しするシリアのアサド政権を支持したりと、欧米とことあるごとに対立する動きを見せています。さらに国内では、野党の指導者など政権に反対する人間の暗殺が相次いでおり、まるで帝政ロシアかスターリンのソ連に戻ったかのような状況です。筑波大学の中村逸郎教授は、プーチンのことを世界征服をもくろむ「人類史上最大の悪魔」と表現しているほどです。

 では彼はなぜ世界征服を企んでいるのでしょう? 彼の世界シナリオとはいったいどのようなものでしょうか?
 第二次世界大戦終結後から半世紀近く、世界は資本主義のアメリカと共産主義のソ連の二大国が支配していました。いわゆる「冷戦時代」です。
 1989年、ベルリンの壁が崩壊したことをきっかけに共産主義諸国で次々と革命が起こって政権が倒され、1991年にはソ連も崩壊しました。
 ソ連崩壊後、超大国アメリカによる世界の一極支配が始まりますが、2001年に起こった同時多発テロ事件に代表されるように、世界中でテロや内戦が多発するようになっていき、アメリカの支配力は弱まってきています。
 古代中国でいえば、漢滅亡後の三国時代みたいなもの。圧倒的な力を持った大国がいないため、世界全体が不安定になっているのが今の状況です。

 私が考えるに、プーチンの世界シナリオはとてもシンプルです。
 東西が対立する冷戦時代や、その後アメリカが世界の警察として一極支配していた時代は安定していた。アメリカが弱体化したために、世界が混乱している。これはロシア国民にとっても、それ以外の国の人間にとってもよくない状態だ。それならば、アメリカ、ロシア、中国の三国時代で一番強力な勢力になり、やがては世界を統一して安定させよう―。
 反体制派の要人暗殺が相次いでいるにもかかわらず、プーチンの支持率は高い状態を保っています。ロシア国民は、プーチンの思い描いている世界シナリオを支持しているんですね。
 もっとも、ロシアによる世界統一というシナリオが、ロシア国民以外にとっていいことかどうかは別問題です。私たちは、プーチンのシナリオを見極めた上で、彼のシナリオに乗るのか、あるいは別のシナリオを持ったカリスマを応援するのかを、選ばないといけません。

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岡田 斗司夫

おかだ としお

1958年大阪府生まれ。社会評論家。

1984年にアニメ制作会社ガイナックスの創業社長をつとめた後、東京大学非常勤講師に就任、作家・評論家活動をはじめる。立教大学やマサチューセッツ工科大学講師、大阪芸術大学客員教授などを歴任。

2010年に「オタキングex」(現FREEex)を立ち上げる。レコーディング・ダイエットを提唱した『いつまでもデブと思うなよ』(新潮新書)が50万部を越えるベストセラーに。

その他、多岐にわたる著作の累計売り上げは250万部を越える。

近著に『カリスマ論』(ベストセラーズ)がある。


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