JR飯山線『走る農家レストラン』の旅
JR飯山線を走る観光列車「おいこっと」の車両を使ったレストラン列車が月に1回程度の割合で飯山線を走っている。名付けて「走る農家レストラン」。沿線の食材を使った素朴な料理を気軽に味わえる列車で、JR長野駅を発車し、飯山線の森宮野原駅まで走る。団体列車なので、あらかじめツアーに申し込み乗車する。
北陸新幹線金沢延伸にともない第三セクターしなの鉄道の路線となった旧信越本線を豊野駅まで走り、いよいよ飯山線へ。唱歌「故郷」が流れる替佐駅で、まず前菜が積み込まれる。手際良く各テーブルに配膳され、ゆったりと昼食が始まった。
前菜は、エゴ、ごぼうの太煮、長芋の甘酢漬け。農家でもてなしをうけているような気分だ。ふと窓から外を眺めると、列車は千曲川に沿ってのんびり走っている。地元のおばちゃんがマイクを使って、車窓の案内をしてくれるのも親切だ。
続いて小鉢が配られ、里芋や大根、ニンジンなどの煮物をいただいているうちに飯山駅に到着、20分近く停車する。その間にホームでは駅員さん達が「ようこそ、飯山線へ」という横断幕を掲げ、歓迎してくれた。
飯山を出てしばらくすると、天ぷらと生野菜のサラダに載った長芋のみゆきポーク巻が登場した。これは飯山特産の名物と言ってもいい食材だ。初めて口にしたけれど、大変美味しく、幻の豚肉という評判通りだった。
戸狩野沢温泉駅で食材の積み下ろしがあり、関係したおばちゃんたちがかなり下車し、一斉に手を振って列車を見送ってくれた。列車は、いよいよ千曲川の流れを堪能できる区間に差しかかる。食事の方は、これまた飯山付近の名物である笹ずしが出てきた。笹の葉に乗ったご飯と食材がきれいに並んでいるが食べにくい。箸を使った方が食べやすいのかな、と思案していたら、係の人が食べ方を教えてくれた。なるほど、言われたとおりにすると上手く食べることができた。素朴な味わいだ。
いつまでも千曲川の流れを眺めていたいと思っていたが、乗車時間が残り少なくなってきた。最後は、ちょっと急ぎ足でデザートを口に運んだ。かぼちゃのムースとりんごが一切れとはいかにも信州らしい。
時間どおりに森宮野原に到着。折返し時間まで40分程あるので、駅前を散策したり、車両の写真を撮ったりして過ごした。もちろん、この駅名物である「日本最高積雪地点」の標柱はじっくりと眺めカメラに収めた。
帰路は、のんびり車窓を眺めながら上境駅で途中下車。歩いてすぐのところにある「いいやま湯滝温泉」に案内されて、ゆったりと湯に使って日ごろの疲れをほぐした。その後、貸切バスで「道の駅」に立寄り、買い物をしたあと飯山駅へ。再び「おいこっと」車両に乗り込んで、長野駅へ戻り、解散となった。休日を飯山線沿線でのんびり過ごせる列車ツアー、おススメである。
走る農家レストランについては、JR東日本長野支社まで。
取材協力=JR東日本長野支社