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緊急対談 佐藤優×高永喆 激動の朝鮮半島情勢を日韓インテリジェンスの第一人者が分析!

『韓国左派の陰謀と北朝鮮の擾乱』(高永喆・著)が3月25日発売。

親北朝鮮政権の誕生で、第2次朝鮮戦争勃発の可能性も!? アメリカ、中国の動向、そして日本への影響は…。金正男の暗殺で、いま世界の歯車が動き出す!

 

 今、朝鮮半島が大きく揺れています。金正男暗殺に朴槿恵大統領の弾劾、罷免。そして北朝鮮のミサイル発射に、金正男の息子、金漢率のビデオメッセージの発信……。これら一つひとつは別の出来事のようですが、よく考察して見るとある一連の流れの中にあるのです。

 韓国国内では朴槿恵大統領が崔順実被告の国政介入や、セウォル号遭難事故時の不適切な行動などが罪に問われて、弾劾訴追されて罷免されました。私はこの結果を中国と北朝鮮のサイバー情報心理戦に揺さぶられた群集心理と、それを利用した左派野党の煽りが成功したものだと分析しています。
 当分の間は、黄教安首相が権限を代行することになり、その後、次の大統領選挙が行われます。その選挙では朴槿恵氏の弾劾裁判を強く主張した左派野党の候補者が支持率を上げていて、当選する可能性が出てきています。
 左派勢力の台頭に反対する国民のデモも繰り返され、一時は参加者数が韓国全土を合わせて500万人を超えました。現在の韓国国内での意見は二分された状態です。
 日本では、弾劾、罷免という流れが韓国の民主主義が勝ちえた結果であるかのようにいわれていますが、それは間違いです。
確かに朴槿恵大統領は、崔順実被告の監督を怠った部分の罪はあります。しかし、それ以上に世論を操作したのは、左派による煽動なのです。私はこのまま国民の意思が統一されずに進んでしまうと、中国や北朝鮮が目論む「赤化統一」の危機が近づいてくるのではないかと感じています。
 実際に、保守系メディアと国家情報院の傘下にある国家安保戦略研究院や、統一省傘下の統一研究院では、北朝鮮による情報や民衆心理の操作に関する警告を発する文章を公開しています。
そこから判断すると、インターネットだけでなく韓国人になりすました北の工作員が本国らの指令で、左派勢力支持のデモ隊を煽動している可能性も考えられるのです。いや、実際にすでに工作は始まっているでしょう。

 日本の方々には、本当に「中国や北朝鮮が、情報心理戦を仕掛けているのか」、「戦闘行為を仕掛けてくるのか」という疑問を持つ人も多いのではないでしょうか。
私が海軍少佐時代に国防総省で情報分析官をしていたときには、DIA(アメリカ国防情報局)や韓国軍がキャッチした北朝鮮の暗号解読や通信情報の解析によって、北朝鮮の動向を認知したり、一般に公開されている北朝鮮関連の記事や書籍、文章から起きていることとの関連性を読み取り、情報心理戦工作の痕跡や可能性を割り出すといったことをしていました。
 また、偵察衛星が撮影した画像解析からは、北朝鮮軍の部隊の規模や配置、移動から、北朝鮮がどう動くか、どのような工作が行われるかを分析できます。
 そして、その結果を、国防長官と指揮部及び関係部署にブリーフィングするのが主な仕事だったのです。
インテリジェンスマン(情報担当官)というのは、通常であれば見逃してしまうような些細な兆候を見つけ、それによって次に展開される動向を予測するためにいます。
考えうる限りのパターンを想定しておくことで、その後に起こる事態に対処できるようにするのです。
 現役を退いて北朝鮮情勢を研究している現在も、そういった視点で新聞や雑誌を読んだり、ニュースを見聞きしたりしていると、また違った事実が見えてくるものです。

【目次】

朝鮮半島が赤く染まる日――まえがきにかえて 

緊急対談 佐藤優×高永喆

第1章 なぜ金正恩は金正男を殺したのか

金日成・金正日主義のレトリック
北朝鮮の動きを探るのに重要な、ヒューミントの力
マレーシアの国際空港が殺害現場に選ばれた理由
実行したのは、北朝鮮のどの組織なのか
心配は金正恩の体調によって始まる判断ミス

第2章 朝鮮半島有事に備えたインテリジェンス連帯

金正男殺害が韓国国内に与える影響
北朝鮮と中国による共同サイバー作戦の可能性
インテリジェンス面での日韓の連帯を強化する
朝鮮半島での戦争勃発を避けるには

第3章 日本に憧れを抱いた韓国海軍将校

日本に来て初めてわかった、本当の日本の良さ
日本に憧れた田舎者
日本と縁深い親子
私の人生を一変させた一冊の本
親日派・政治将校として逮捕
政治報復の悪循環
朴槿恵大統領は潔白なのか
側近女性が招いた魔女狩りと人民裁判
朴槿恵大統領はどうなるのか 

第4章 歴代韓国大統領の悲惨な末路

なぜ韓国では大統領の不正事件が続くのか 
韓国と北朝鮮は分断された双子
歴代大統領の不正疑惑 
韓国大統領の経歴
支持率が下がると反日感情を煽る指導者たち 
建前と本音を使い分ける、親日と反日感情
反日感情を扇動するデタラメ政治
慰安婦像を再び選挙に利用する韓国の野党
韓国も生まれ変わるべきでは
潘基文氏はなぜ大統領候補から降りたのか
韓国国民の政治感覚
次期大統領にふさわしいのは

第5章 赤化統一を企む韓国左派の正体

意外と知られていない韓国左派
ハニートラップも使って左派転向させる
韓国に親北左派政権が誕生したらどうなる
「従北」、「反日」の文在寅
韓国の左派大統領の歴史
なぜ北朝鮮は、日韓を離反させたいのか

第6章 北朝鮮崩壊の可能性

金正男はなぜ、今この時期に殺されたのか
金正恩の大粛清と恐怖政治
金正恩恐怖政治の背景
北朝鮮の生物・化学兵器の製造と使用能力
生物兵器は1960年代から組織的に開発
ミサイル以上に怖い、北朝鮮特殊部隊の存在
局地戦争と北朝鮮崩壊のシナリオ

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高 永喆

コウ ヨンチョル

拓殖大学客員研究員、韓国統一振興院専任教授、元韓国国防総省北朝鮮分析官。

1953年、韓国全羅南道に生まれ。1975年韓国朝鮮大学卒業(奨学生)、同年海軍将校任官、海軍大学卒業(正規18期)。

駆逐艦作戦官を経て第2艦隊特海高速艇隊長、済州道防衛司令部情報参謀、海軍士官学本部隊長、国立海洋大学・海軍教育団(ROTC)教官・副団長を歴任。

1989年からは、国防総省北朝鮮分析官(専門委員)、同日本担当官(防衛交流)を務める。

1993年、金泳三政権の軍部粛清により、全斗煥、盧泰愚の元大統領及び軍政治団体ハナ会らとともに逮捕。その後、金大中大統領の特別赦免・復権を受ける。

1999年12月に来日。以降、テレビ、新聞、週刊誌に北朝鮮問題解説、特講、講演を通して韓日友好に寄与中。

共著に佐藤優氏との『国家情報戦略』(講談社)、ほか『亡国のインテリジェンス』(文芸社)などがある。


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