【2040年のモノ】2030年、銀行が発行するお金はデジタル化される
2040年の「お金」を想像してみる〈後編〉
■公的なデジタル通貨が誕生する日
ここまで取り上げてきたようなキャッシュレス化(電子化)は、最後の「Swish」を除けば、クレジットカード会社や鉄道会社など民間企業が行っている範囲と言える。しかし、さらに長期スパンで見ると、“公的なデジタル通貨の発行”が行われる可能性が高いという。その鍵となるのが、最近話題となっている“ブロックチェーン技術”だ。
「ブロックチェーン技術を使った通貨としては、ビットコインが有名ですが、イーサリアムやリップルなどさまざまな仮想通貨にも使われています。これらはすべて私的な仮想通貨ですが、実は、中央銀行がブロックチェーンを使って「公的デジタル通貨」の開発に乗り出そうとしています。実際に日本銀行でも実証研究を実施しています。私的な仮想通貨との違いは、まず中央銀行が公的な裏付けを行うことです。また私的な仮想通貨では、「1ビットコインあたり○○円」のように、独自の通貨単位を持っているのに対して、中央銀行のデジタル通貨は、ドルや円など各国の通貨単位をそのまま使用します。ビットコインをはじめとする仮想通貨の価格の乱高下が記憶に新しいですが、交換比率はあくまで1:1です。中央銀行マネーの形態としては銀行券(いわゆる現金)と当座預金の2つがあり、どちらで導入するかは各国によって分かれるところですが、中央銀行の発行する“デジタル通貨”はかなり現実味を帯びてきています」
実際に、ウルグアイでは、試験的ではあるものの「eペソ」という法定デジタル通貨が運用を開始。公共料金や店舗での支払いのほか、個人間での受払いも可能になっている。「中央銀行が本格的にデジタル通貨を導入するには、どうしても時間がかかります。私的な仮想通貨と違って失敗が許されませんから。実験を何度も重ねてからGOサインを出します。しかし、私の予想では早くて5年、そして10年もすれば実用化されるのではないかと思っています」
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