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宇野常寛が評論家になって一番苦労したことは?

宇野常寛さん3月毎日更新 Q8. 「評論家になって、一番苦労したことは?」

「BEST T!MES」連載30問30答、3月は宇野常寛さんを特集! 自ら企画ユニット『PLANETS』を主宰、近年はメディアでの活躍も増える中、評論家として最新作『母性のディストピア』が大ヒット中。多彩な活動を続ける彼の「素顔」に30の質問で迫ります。

やっぱり潰されないことが大事だなと思うんです

 

 人間関係ですね。これは即答できます。評論の世界って、浮世離れしているようで実はものすごく俗悪なムラ社会でもある。ほかと変わらないです。嫌がらせとかイジメもすごく多いですよ。

 実際に「宇野は気にくわないから、潰してやれ」と、ネットにいわれのない噂を流して足を引っ張る人もいるし、そんな業界のボスみたいな人のご機嫌を取るために僕に石を投げる人もいる。そして次は自分がターゲットになりたくないから、みんなそんな状況を黙認している。他の業界と同じように、ジャイアンに媚びるスネ夫が多い世界なんですよ。

 ここまで続けてきて思うのは、やっぱり潰されないことが大事だなと思うんですよね。そのためには、ちゃんと仕事で結果を出して、嫌がらせに負けないようにすることです。

 

 あとはまあ、ちょっと話は変わりますが業界の飲み会は行かなくなりましたね。震災の後にお酒をやめたんですよ。もともと「飲みニケーション」とか好きじゃないし、欠席裁判と業界政治の温床が「飲み会」だから、もういいかなあ、と思って。一人一人を見ると、そんなに嫌なヤツじゃないんですけど、3人以上集まると、その場にいない人間の悪口を言い出すことってよくあるじゃないですか。だから「業界」じゃなくて「個人」と付き合うようにしていますね。僕はお酒飲まないけれど、おしゃべりは好きなので1対1でじっくり話すようになったかなあ。

 メディア業界の人って、「業界人であること」に満足しちゃう人がすごく多いじゃないですか。そういった人間は大したこともできないですし、つまらない。なので、ウチのスタッフにも「飲み会ばっかり行く人間にならないほうがいいよ」って言い聞かせていますね。

〈明日の質問は…… Q9.「コメンテーターとしてテレビに出たことで変わったことはありますか?」です。〉

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宇野常寛・著母性のディストピア

 

宮崎駿、富野由悠季、押井守--戦後アニメーションの巨人たちの可能性と限界はどこにあったのか?

宮崎駿論4万字、富野由悠季論10万字、押井守論10万字の作家論を中核に、アニメから戦後という時代の精神をいま、総括する。
そして『シン・ゴジラ』『君の名は』『この世界の片隅に』――現代のアニメ・特撮が象徴するさまよえるこの国の想像力はどこにあるのか?

『ゼロ年代の想像力』『リトル・ピープルの時代』とその射程を拡大してきた著者の新たな代表作にして、戦後サブカルチャー論の決定版。

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宇野 常寛

うの つねひろ

評論家。1978年生。批評誌〈PLANETS〉編集長。著書に『ゼロ年代の想像力』(早川書房)、『リトル・ピープルの時代』(幻冬舎)、『日本文化の論点』(筑摩書房)、『母性のディストピア』(集英社)。石破茂との対談『こんな日本をつくりたい』(太田出版)、『静かなる革命へのブループリント この国の未来をつくる7つの対話』(河出書房新社)など多數。企画・編集参加に「思想地図 vol.4」(NHK出版)、「朝日ジャーナル 日本破壊計画」(朝日新聞出版)など。京都精華大学ポップカルチャー学部非常勤講師、立教大学社会学部兼任講師など、その活動は多岐に渡る。


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母性のディストピア
  • 宇野 常寛
  • 2017.10.26