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宇野常寛、40代を前に「歳をとるのは悪いことばかりじゃない」

宇野常寛さん3月毎日更新 Q7. 「今年で40歳ですが、どんな40代を過ごしたいですか?」

「BEST T!MES」連載30問30答、3月は宇野常寛さんを特集! 自ら企画ユニット『PLANETS』を主宰、近年はメディアでの活躍も増える中、評論家として最新作『母性のディストピア』が大ヒット中。多彩な活動を続ける彼の「素顔」に30の質問で迫ります。

まだやりたいことが大量にあるんです

 

 いやあ、40代にはなりたくないですね(笑)。まだ39歳ですが、若いときのようにいかないと思うことも増えました。特に体力面が顕著ですね。若い頃は徹夜明けでも少し寝れば回復して集中して作業ができていましたが、この歳になると徹夜明けはかなり辛いですね。翌日は体が使い物にならなくなってしまいます。年齢を重ねても、原稿を書いたり本を読むスピードが落ちてきた感覚はないんですよ。そういった能力はあまり変わらないですけど、自分が100%能力を発揮できる時間が若い頃に比べると短くなっているなと身をもって感じています。

 とはいえ、歳をとるのは悪いことばかりじゃないですね。よかったと思うこともあって、例えば、自分で自分をコントロールできるようになったこと。昔に比べて感情の抑制も効くようになりましたし、取捨選択が上手くなりました。長期的な視点で物事を考えられるようもなりましたね。こういったものは、若い頃にはなかなかできなかったですから、歳をとったことが影響しているのかなと。まあ、単にいろんな経験を積んだ結果でしょうけどね。

 

 日本の平均寿命はまだ伸びそうですが、現在の平均寿命だと40歳は人生の折り返し地点。しかも、僕の場合は父親が50歳で亡くなっているので、「自分もその年で……」と考えてしまうと、残された時間はあと10年。そうやって考えていくと、「もっともっと自分の仕事を残したい」という気持ちは強くなります。僕はまだやりたいことが大量にあるので、優先順位の高いものや今すぐできそうなものからやっていっています。40代は、そういったやりたいことリストを優先順位の高いものから取り組んでいく過ごし方になるでしょうね。

〈明日の質問は…… Q8.「評論家になって、一番苦労したことは?」です。〉

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宇野常寛・著母性のディストピア

 

宮崎駿、富野由悠季、押井守--戦後アニメーションの巨人たちの可能性と限界はどこにあったのか?

宮崎駿論4万字、富野由悠季論10万字、押井守論10万字の作家論を中核に、アニメから戦後という時代の精神をいま、総括する。
そして『シン・ゴジラ』『君の名は』『この世界の片隅に』――現代のアニメ・特撮が象徴するさまよえるこの国の想像力はどこにあるのか?

『ゼロ年代の想像力』『リトル・ピープルの時代』とその射程を拡大してきた著者の新たな代表作にして、戦後サブカルチャー論の決定版。

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宇野 常寛

うの つねひろ

評論家。1978年生。批評誌〈PLANETS〉編集長。著書に『ゼロ年代の想像力』(早川書房)、『リトル・ピープルの時代』(幻冬舎)、『日本文化の論点』(筑摩書房)、『母性のディストピア』(集英社)。石破茂との対談『こんな日本をつくりたい』(太田出版)、『静かなる革命へのブループリント この国の未来をつくる7つの対話』(河出書房新社)など多數。企画・編集参加に「思想地図 vol.4」(NHK出版)、「朝日ジャーナル 日本破壊計画」(朝日新聞出版)など。京都精華大学ポップカルチャー学部非常勤講師、立教大学社会学部兼任講師など、その活動は多岐に渡る。


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  • 宇野 常寛
  • 2017.10.26