好きなものを好きというのはなぜ怖い?
【注目マンガ家インタビュー〜山口つばささん(後編)】
【そこが聞きたい! マンガ家INTERVIEW〜山口つばささん(後編)】今、注目のマンガ家に迫るロングインタビュー
ブルーピリオド
山口つばさ 著
講談社刊
既刊2巻
■あらすじ
成績優秀かつスクールカースト上位の充実した毎日を送りつつ、どこか空虚な焦燥感を感じて生きる高校生・矢口八虎(やぐち やとら)は、ある日、一枚の絵に心奪われる。その衝撃は八虎を駆り立て、美しくも厳しい美術の世界へ身を投じていく。美術のノウハウうんちく満載、美大を目指して青春を燃やすスポ根受験物語、八虎と仲間たちは「好きなこと」を支えに未来を目指す!(Amazon.co.jpより)
■掲載誌
月刊アフタヌーン(2017年8月号〜連載中)
■公式ホームページ
【http://afternoon.moae.jp/lineup/832】
【前編はこちら】
■ 好きなことは趣味でいい、は大人の発想
――好きなことに本気で向き合う悦びと痛みを描いた本作は、刺さる名言のオンパレードでもあります。STREET JACKの読者である、18歳から22歳の男子に贈るならコレ!というセリフがあれば教えてください。
山口 ありますか?(と、担当編集に振る)
担当編集 丸投げした!(笑)。「俺の好きだけが俺を守ってくれる」は名言だなと。おばあちゃん先生の「『好きなことは趣味でいい』 これは大人の発想だと思いますよ」も人気のあるセリフです。
――自分で聞いておいてなんですけど、「俺の絵で全員殺す」というセリフも刺さりました。
担当編集 そのセリフは特に絵を描く人とか、マンガ家さんから共感するという声が届きました。
――やはり! 絵を描く人といえば、キャラクターが絵を描くシーンが頻出します。その絵は別々の人に描いてもらい、ひとつひとつ選定しているわけですよね。この場面ではこの絵を使う、みたいにして。
山口 そうですね。自分で全て描くと偏ってしまうので、友達からもらった絵をデータ化して、ここにはコレを入れようみたいな時もあるし。みんなでで同じモチーフをデッサンする場面があるときは、どうしてもモチーフが揃わないので、友達を何人か家に呼んで描いてもらったりしています。
――余計なお世話なんですけど、作中の講評のシーンであまりよく言われない絵もあったりするじゃないですか。そこで友人関係にヒビが入ったりはしないんですか?
山口 揉めないよう先に言っておきます。でもみんな優しくて、「ひどい講評に使ってくれても大丈夫だから」「宣伝になるからマジで使って」みたいに言ってくれるんです。
――みんな優しいなあ。普段からマンガやイラストを描いている女子の絵に対し、先生が「圧倒的に(モチーフを)見ていないようにみえました 手のくせや想像ではなく もっと見てあげてください」と講評するシーンがありました。一度頭の中にイメージが出来てしまうと、それを追い払うのって難しいものなんだなと印象に残っています。
山口 それ、絵をやっていると言われがちなセリフなんですよ。
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