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【元芸人・作家の松野大介】コロナ報道で視聴率稼ぎに勤しんだテレビ報道の大罪(前編)

「コロナ回想録」(前編)


 コロナ禍でテレビは視聴率稼ぎにインチキ報道をしていたのをあなたはご存知だろうか? じつにしれっと謝罪をし、いまや無かったことにしているが、そこにテレビ製作の無責任体質がある。一方、日本人は先進国のなかでもテレビ報道を信じる国民として有名だ。国民が見たいものをテレビは見せる。共犯関係でもある。今回、テレビ製作の舞台裏をよく知る、元芸人にして作家の松野大介氏がコロナ報道でテレビはどんな煽り報道をして、どんな立ち回り方をしていたのか、を鋭く観察し分析した。いま松野氏は、都会を離れ、沖縄に移住し、日本で起こっている出来事を静かに観察している……


◼️ 不正がバレても、次回に謝って終われば済むと考えるテレビ

2020年5月27日。緊急事態宣言が解除された東京上野のアメ横。三密自粛がまるで噓だったような光景(写真:森田直樹/アフロ)

 結果的に日本(アジアそのもの)は、なぜか欧米に比べて新型コロナウイルスの感染は拡がらず、緊急事態宣言解除となった。

 だが、「実はインフル並みのウイルスじゃないか?」「高温多湿で死滅して、もう大丈夫だよ」と思ってはいても、緊急事態宣言が解けてなお、基準が暖味な感染予防や人と接しない自粛生活を送らされている。このルールはウイルスと関係なく常態化しそうな気配を感じながら。

 私も世間の目を気にし、窒息死しそうになりながらマスク暮らしを営んでいる。もはや怖いのはウイルスより、マスクやソーシャルディスタンスを守らないと犯罪者扱いされそうな空気。この同調世論を作った要因の1つは、キー局で製作されている全国ネットのテレビ番組だろう。

 コロナ騒動で視聴率が飛躍的に伸びたワイドショーやニュース(主にタ方)の煽り報道はひどい。最近でいえば5月19日放送の『バイキング』(フジテレビ)で、17日の「不安 人出増加 気の緩み 人、人、人」と、人混みを捉えた映像の1つの原宿が3月の映像だとバレた。『モーニングショー』(テレビ朝日) 20日の放送も同様に人混みが写った画像が別の日と発覚

 不正をしてバレても、次回の番組の冒頭か最後で無表情で謝って終わればいい。一度観た映像のインパクトは、口で謝罪されても消えない。他のインチキはバレなければそのままだ。不正でなくても、人出が多く見えるように膨らんで映るレンズを使っての撮影など〝盛った〟映像は常識だ。

 前出の『モーニングショー』は、PCR検査について間違えた発言をして、後日謝罪した。同局の『グッド!モーニング』(テレビ朝日)では、新型コロナの治療にあたっていた医師が、自分の映像が編集され真逆の意見として見えるように放送されたことを指摘。

 私は元芸人(ABブラザース:これでも若い頃は全国区でした)だったがテレビに疑問を感じたこともあって作家に転身した。今回のウイルス騒動で数年ぶりにワイドショーやニュース報道を観て感じたことがある。テレビは言いっぱなし・やりっ放し文化だが、忘れないように「テレビの煽り報道」について時系列で、わかりやすく検証します。

次のページテレビの煽り報道を検証する【2月~4月】
 

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松野 大介

まつの だいすけ

1964年神奈川県出身。85年に『ライオンのいただきます』でタレントデビュー。その後『夕やけニャンニャン』『ABブラザーズのオールナイトニッポン』等出演多数。95年に文學界新人賞候補になり、同年小説デビュー。著書に『芸人失格』(幻冬舎)『バスルーム』(KKベストセラーズ)『三谷幸喜 創作を語る』(共著/講談社)等多数。沖縄在住。作家、ラジオパーソナリティー、文章講座講師を務める。

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