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堺鉄炮之碑

季節と時節でつづる戦国おりおり第444回

 10月11日の大河ドラマ「麒麟がくる」には堺の豪商・今井宗久(演:陣内孝則さん)が登場。のちに織田信長の代官兼茶頭にもなる宗久は、永禄11年(1568)の信長上洛に先駆けて織田家に誼を通じていました。『今井宗久茶湯日記抜書』や『天王寺屋会記』を見ると、前年ぐらいから宗久や津田宗及(同じく堺の豪商)は三好一族、松永久秀、摂津池田一族の池田清貪らとひんぱんに茶会を繰り返していますから、さぞ濃い情報交換と戦備にともなう商取引(武器弾薬ほか)の話し合いがおこなわれたのでしょう。

堺・臨江寺の今井宗久墓

 

ドラマのエンディングの紀行コーナーに映っていた「堺鉄砲の碑」は、2000年にザビエル公園内に設置されたものです。

ザビエル公園は豪商・日比屋了珪の屋敷跡とされています。彼はザビエルに感化されてキリスト教徒となり、その屋敷を教会として提供したので、この公園が本当に了珪屋敷だったのであればかつてのイエズス会教会跡に殺人兵器・鉄砲の記念碑が建てられているのはなんとも皮肉な話ではないでしょうか。

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橋場 日月

はしば あきら

はしば・あきら/大阪府出身。古文書などの史料を駆使した独自のアプローチで、新たな史観を浮き彫りにする研究家兼作家。主な著作に『新説桶狭間合戦』(学研)、『地形で読み解く「真田三代」最強の秘密』(朝日新書)、『大判ビジュアル図解 大迫力!写真と絵でわかる日本史』(西東社)など。


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