《松浦鉄道》駅ノートがひとりの命を救った?平戸の人情話に思わずホロリ【女子鉄ひとりたび】23番線
すべての鉄道を乗りつぶした唯一の女性芸能人が行く、西九州の旅3回目
元祖鉄道アイドル、今は「鉄旅タレント」として鉄道をアツく語る、木村裕子が日本各地の魅力的な路線を紹介する“女子鉄ひとりたび”(『女子鉄ひとりたび』著・木村裕子より)。旅はまさに出会い。邂逅(かいこう)の連続であることを教えてくれる。九州・松浦鉄道の小さな駅で、カッパのミイラとご対面できてご満悦の彼女。さらなる運命的な出会いが待っていた……?
■リアルな鉄おとめはこんなに忙しい!
楠久をあとに再び列車に乗り込む。このあたりでは右窓に風光明媚な伊万里湾が飛び込んでくる。
佐賀県最後の駅・浦ノ崎(うらのさき)は約90本の桜が植樹され、「桜の駅」として知られている。開花期になればピンク一色に染められ桜のトンネルをくぐるのだろう。沿線は当駅以外にも桜や菜の花が至るところに植樹・栽培されており、春先にもう一度訪れてみたくなった。
長崎県に入っても、玄界灘(げんかいなだ)が見え隠れする。長崎県は離島が多いので、ところどころの港からフェリーが発着している。船が行き交う青く澄んだ海を眺めながら、物思いにふけっていると、この旅のハイライトである日本最西端のたびら平戸口(ひらどぐち)駅に着いた。
ホームで駅名標と自撮りしていると、女性駅長(当時)の大石文子(おおいしふみこ)さんが私のところに走ってきて、
「お撮りしましょうか?」と声をかけてくれた。鉄道が好きで来ましたと伝えると、
「たくさん写真を撮っていってね。シャッターを押して欲しいときは声をかけてね」と言ってくれる。女神なのか。
駅構内で撮り鉄をしながら駅長さんを見ていると、休む暇もなくとても忙しそうだった。案内放送直後に、腰の曲がったおばあちゃんに駆け寄って手を引いて歩き、列車出発時には深々とお辞儀をして見送っている。
どれも女性ならではの気遣いと、視点にあふれている。
ベンチにいたカマキリを見つけたときは、手でヒョイと捕まえて草むらへ逃がしてあげていて、昆虫図鑑すら触れないほど虫が苦手な私には、絶対マネできないと感銘を受ける。
「この町はいろいろな種類の虫がいて、毎日駅に遊びに来てくれるのよ」と、虫までお客さんとして扱っていた。
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■松浦鉄道たびら平戸口駅で「女子鉄ひとりたび」絶賛発売中!
松浦鉄道さんのご厚意により、裕子の本を置かせてもらいました!
特別な特典はございませんが、旅の記念に、お土産に、もし見かけたら買ってくださいね。
■な、なんとこの夏も、水間鉄道に「女子鉄ひとりたび」ヘッドマーク電車が走った!
掲出日程:2020年8月11日~8月20日(10日間)
掲出車両:1003(青ライン/貝塚駅側)
走行日:8月11、12、13、16、17日