この世界にはびこり蓄積されてきた欺瞞に距離を置くためにも、あなたは自分に正直であるほうが安全だ!(藤森かよこ【馬鹿ブス貧乏】⑮)
自分に正直でいることの効用 [苦闘青春期(37歳まで)]
「誰も本当のことを言わないから、ブスで馬鹿な私が本当のことを言う!」と元祖リバータリアン(超個人主義的自由主義)でアイン・ランド研究の第一人者である作家・藤森かよこ氏がペンで立ち上がった。
氏のものした『『馬鹿ブス貧乏で生きるしかないあなたに愛をこめて書いたので読んでください。』(KKベストセラーズ)は4刷を超え(以下、「馬鹿ブス貧乏」と表記)、多くの女性を勇気づけた「革命の書」である。アラフォー読者からの要請が殺到。今月21日より、第2弾『馬鹿ブス貧乏な私たちを待つ ろくでもない近未来を迎え撃つために書いたので読んでください。』が出版される。
そこで、今回、藤森氏のご厚意に預かり『馬鹿ブス貧乏』の長いまえがきから第1章まで再構成し、「若いほど」役立つと低スペック女子が37歳までにやるべき本当のことを転連載で教えてくれる。まさに「馬鹿ブス貧乏」で生きるしかない女性が最高に幸せになる本当のサバイバル術である!
■自分に正直でいるとこの世の欺瞞(ぎまん)に騙(だま)されにくい
もうひとつ、自分に正直でいることの効用がある。自分に正直でいるということは、自分が抱いた疑問を抑圧しないということだ。そうすると、この世にはびこる欺瞞に騙されにくくなる。表向きの大義名分と実体のギャップを明確に意識できるようになる。これも、現実とファンタジーの区別をつける作業のひとつだ。
たとえば、あなたが小学校時代に、アメリカの南北戦争について学ぶとする。南北戦争が黒人奴隷解放のためになされた戦争であったと学ぶとする。
そのように習ったとしても、どんな子どもでも「そこまでして戦争したのに、いまだに黒人差別がされているのは、なぜかな」と思う。自分に正直でいれば、自分の疑問を忘れずに、自分なりに調べるかもしれない。
そうすると、南北戦争の原因は黒人奴隷解放ではなく、北部の産業資本家たちが、自分たちの生産物を売るために、ヨーロッパ製品を購入する南部の経済を壊滅させたかったからだとわかる。
当時のアメリカ南部は、ヨーロッパとの紐帯(ちゅうたい)が強いアメリカ合衆国内外国「アナザー・カントリー」だった。その南部の経済を支えていたのは、大農場システムだった。そのシステムを支えていたのが黒人奴隷だった。
黒人奴隷解放は南部の経済を弱体化させる手段だった。黒人奴隷解放は、単なる聞こえのいい大義名分だった。その証拠が、現代まで連綿と継続している人種差別だ。
ほかの例もあげてみる。たとえば、あなたは、中学や高校の日本史の時間に幕末明治の歴史を学んだときに不思議に思ったはずだ。
尊王(そんのう)攘夷(じょうい)と騒いで、井伊直弼(いい なおすけ)を桜田門外で暗殺したぐらいだったのに、開国反対のはずだったのに、いつのまにか尊王攘夷のスローガンが消えて、長州も薩摩もイギリスから武器を買い徳川幕府を追い詰めたのは、どういうことか?
以下は、副島隆彦(そえじま たかひこ)の『思想劇画 属国日本史 幕末編』(コスミック出版、2019年)の受け売りだ。この劇画歴史本は、1997年に発表された副島氏の『属国・日本論』(五月書房)の幕末に関する記述を元に、2004年に出版されたものの加筆訂正版だ。この属国論は、2019年にも改訂版が出版されている。『[決定版]属国日本論 2つの帝国の狭間(はざま)で』(PHP研究所、2019年)だ。
実際は、尊王攘夷を本気で純粋にまっすぐに信じた人々は悲惨な運命をたどった。
徳川幕府はといえば、朝廷に異を唱える気はなく、天皇を頂点として、徳川を首相にし、各藩主を国会議員にして議会政治を始めるつもりでいた。だから、徳川と官軍の衝突など起きる必要のないものだった。会津戦争など必要のない虐殺だった。
幕末明治の内乱の実相は、薩長に武器を売りたいイギリスと、幕府に武器を売りたいフランスの帝国主義的代理戦争だった。アメリカも参入するつもりだったが、自国で南北戦争が勃発(ぼっぱつ)したので、日本支配については出遅れただけだ。
ヨーロッパ列強の帝国主義競争の代理戦争の手駒(てごま)になってしまった日本。これで日本の属国化は決定的になってしまった。
明治維新は、日本人が世界の近代化の波に遅れまいと自力で成し遂げた革命ではなかった。極東の離れ小島の土人たちが西欧に好きに操られた茶番劇だった。
日本はアメリカの属国であり、日本の運命に関して日本人には自己決定権がないことは、現代の日本人にとっては常識だ。しかし、それを前提としつつ、では未来の日本はどうあるべきかと考え議論する空気は、日本にはない。
問題の存在はわかっているのに、問題が存在しないふりをする日本人。そのような自己欺瞞的姿勢は、そもそもが幕末明治の真相を日本人が見て見ぬふりをしてきたことに端を発するのではないか。
いまだにNHKの大河ドラマの幕末明治ものは、旧態依然とした「日本は自力で近代化を成し遂げました」説に基づいている。受信料を強引に徴収して、そんなデタラメ史劇を製作しないでもらいたい。
坂本竜馬は、相変わらず司馬遼太郎(しば りょうたろう)の『竜馬がゆく』に描かれた人物像でドラマに登場することが多い。でも、なんで土佐の脱藩浪人程度の人間が「商社」なんてものを考えつくことができたのだろうか。浪人でカネがあるはずないのに、なんであちこち行っていられたのだろうか。活動資金は誰が出したのだろうか。なんで、脱藩浪人という一種の落ちこぼれが薩摩や長州を結びつけることができたのだろうか。
このような、あなたの心に浮かんだ疑問について、あなたが正直にその疑問にこだわり続けていれば、いつかその疑問に対する答えが得られるときが来る。きっと。
すると、あなたは、教科書に載っていようが、権威ある知識人が書いていようが、常識として通用していようが、嘘デタラメである見解もこの世にはあると知る。この世界は、意外なほどファンタジーがまかり通り、事実や真実が隠されているらしいと察することができる。
自分の心が正直に抱いた疑問や違和感を、「こんなふうに思っちゃいけないのだ」と抑圧することは危険だ。いつか、その自分の疑問や違和感が適切であったと判明するかもしれない。
たとえ自分が正直に感じることが、この世に流通する意見や通念から逸脱(いつだつ)していても、あなたの感じたことのほうが現実的で妥当でまっとうであるかもしれないのだ。
この世界にはびこり蓄積されてきた欺瞞に距離を置くためにも、あなたは自分に正直であるほうが安全だ。
ただし、そのことを表明する必要はない。あなたのすべきことは、他人への啓蒙(けいもう)ではなく、自分自身のサバイバルと安全保障だ。自分の正直な疑問は、自分自身で大事に保管保存しておこう。
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年末年始「最大」の問題作
低スペック女子(馬鹿ブス貧乏)
「ホンネ」の生き残り術第2弾‼️
藤森かよこ・著
『馬鹿ブス貧乏な私たちを待つ ろくでもない近未来を迎え撃つために書いたので読んでください。』
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