オリンピック後の大不況…2020年、戦略なきアベノミクスの“ツケ”がくる
オリンピックを開催した国のほどんどが不況に陥っている現実
2018年10月15日に開かれた臨時国会で、安倍晋三首相は2019年10月に消費税を引き上げる方針を明示した。しかし新刊『安倍政権は消費税を上げられない』を上梓した、経済ジャーナリストの荻原博子さんによると、「増税はあくまでポーズ。安倍内閣は消費税を増税すると煽りながら、上げる気などサラサラないのです」とバッサリ! その理由とは? そして増税がなくても、日本の景気の先行きが暗い理由とは? アベノミクスの“3つのツケ”を指摘する。
■オリンピック開催国は不況に陥る
「安倍政権は2019年に行われる2つの選挙に勝つため、消費税増税を先送りにする」
前回の記事でこう述べましたが、消費税が上がらないからといって、日本の景気が上向きになるとは限りません。むしろ、2020年以降に厳しい不況が訪れるかもしれないのです。なぜなら、東京オリンピックという巨大イベントが終わってしまうだけでなく、アベノミクスの失敗のツケがドッと噴き出してくる可能性があるからです。
そもそも、オリンピックが商業主義化した1984年以降、オリンピックを開催した国は財政の大盤振る舞いのツケで、ほとんどが不況に陥っています。その理由は、巨大公共投資や雇用が一夜にしてなくなるからです。ギリシャに至っては、オリンピックの巨額公共投資が原因で経済破綻しています。
唯一、不況に陥らなかったのはアトランタオリンピック(1996年)を開催したアメリカです。1990年にIT革命が起きたアメリカでは、1994年にAmazonがスタートし、1995年にはマイクロソフトがWindows95を販売。さらに1998年にはGoogleが登場するなど、次世代IT産業の快進撃がオリンピック不況をカバーしてくれたのです。
しかし日本には、こうした次世代を担う成長産業も成長戦略もありません。残念ながら、不況は避けられないでしょう。
戦略なきアベノミクスは、日本経済に何をもたらしたのでしょうか。「日銀の金融政策」「株価」「給料と景気」という3つのツケを見ていきましょう。