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打ち合わせの相手がタバコの煙を嫌がっている…こんなときどうする?

必要なのは共感する力だ

■相手の気持ちに気づくテクニック

 しかし、まずは相手が不愉快そうにしている、何かを気にしているということ自体に気づかなければ、スタート地点にすら着けません。

 相手の視線の行く先から、「今運ばれていた料理、食べたいのかな?」「タバコの煙、嫌そうだな」など、様々な情報を手に入れることができます。

 余談ですが、私は井上陽水さんの『ジャストフィット』という曲が好きなのですが、その歌詞の中で、女性が自分のスーツケースからちらりと下着を覗かせ、男の視線を追うことで〝自分に気があるかどうか?を試そうとする場面があります。

 まさに、視線の行き先で相手の意向を確かめるテクニックそのものですよね。よい曲ですので、みなさんもぜひ聴いてみてください(笑)。

■話題を振って、原因を探る

 相手の視線の先どころか、不快な表情にすら気づけない人は接待に向きません。たとえば、それまで上機嫌で話していた相手が急に黙ってしまう。
急にあちこちを気にし始める。そのようなことがあれば、料理が気に食わなかった、すでにその場に飽き始めているなど、必ず何かしらの原因があります。

 そんなとき、相手の意向を知るためにも、ちょっとした会話を振ってみるとよいかもしれません。また、何に不満を持っているか見当がつかない場合には、二つ三つと話題を振ってみてもいいでしょう。

「この料理、どうですか?」「体調がよろしくないですか?」。

 それに対して、相手から、

「うーん。ちょっとね」「ちょっとタバコの煙がね」

 などの返答があれば、それは〝かなり〟不快に思っていると考えてください。

 なぜなら、日本人が「ちょっと」という場合には、〝かなり〟強くそのことを感じているケースが多いからです。

 さらに「〝結構〟味が濃いよね」「〝結構〟臭いよ」というように〝結構〟が入った場合は、すでにキレていると思った方がよいでしょう。

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齋藤 孝

さいとう たかし

明治大学文学部教授。



1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。同大学大学院教育学研究科博士を経て、現職。専門は教育学、身体論、コミュニケーション技法。



250万部を超えるヒットとなった『声に出して読みたい日本語』シリーズ(草思社)のほか、『雑談力が上がる話し方』(ダイヤモンド社)、『大人の精神力』、『10歳までに身につけたい「座る力」』(いずれも小社刊)など著書多数。


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