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住む人と文化に触れた「松浦鉄道」佐世保旅

駅名は佐世保だらけ、地元学生、文化財、日本最西端?

■西九州の松浦鉄道に乗る

佐世保駅で発車を待つ列車

 先日、所用で長崎県の佐世保まで出かけた。幸い自由時間が少しだけできたので、午後の遅い時間に佐世保駅から第3セクターの松浦鉄道に乗ってみた。
松浦鉄道の佐世保駅は、JR佐世保駅と同じ高架線上にあり、JRのホームと並んでいるものの、列車が停車するのは、北西寄りのやや外れた場所である。ホームへの出入り口はJR線とは全く異なり、地平のコンコースをはさんでJRの改札口と相対している。表示に従って進むと、改札はない。エスカレータに乗ると、そのまま2階のホームに出てしまった。

松浦鉄道の佐世保駅入口

 脇に自動券売機があったので、1時間少々で戻ってこれる場所ということで左石駅までのきっぷを購入した。すでに列車はホームに横付けとなっていた。1両だけのディーゼルカー。塗装は別として、どこかで見たようなスタイルだなあと思い、後で調べたら真岡鉄道の車両とほぼ同形だった。

 地方の第3セクター鉄道と言えば、多くても1時間に1本程度の本数なのだが、松浦鉄道の佐世保周辺は、昼間は30分毎、午後の遅い時間帯になると、20分毎に列車が発着している。沿線の過疎化により、一時に比べて本数が減ったと言われているが、高校生の帰宅時間を中心に20分毎に列車を走らせているとは大したものである。国鉄松浦線時代の末期には、6時間ほど列車の間隔があくこともあっただけに、利便性の大幅な向上は評価したい。

 セミクロスシートの車内は、発車間際になると、空席も少なくなった。下校する高校生や買い物帰りの女性が多い。私の座っていたボックス席も向かいに地元の人らしい中年の女性が腰を下ろした。

 列車は定時に発車し、佐世保港を左手に見ながら高架線を進む。都市近郊だから屋並みの多い殺風景なところを走るのだろうと思っていたら、やがてトンネルに入った。意外に長いトンネルで出ると最初の停車駅だ。駅名は佐世保中央駅と言うけれど、ヨーロッパの各都市にある中央駅のような規模の大きな構内ではない。片面ホームがひとつあるだけで、列車の行き違いもできない簡素な駅だ。ただ、場所が佐世保の繁華街らしく、日本一距離の長いアーケード街として知られる「さるくシティ403」がすぐ近くに控えている。ここで大勢乗ってきて、車内は満員になった。女性の駅員さんがいて、安全確認をしつつ列車を見送ってくれた。

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