義務教育の「義務」とは何への義務か(後編)
移民にこそ義務教育を!
■政府の巨大な現実逃避
ところが政府は、入管法改正で入ってくる外国人について、移民ではないと
いう姿勢を取りつづけている。
永住を含めた長期滞在が可能になるにもかかわらず、です。
「通常の居住地以外の国に移動し、少なくとも12ヶ月間当該国に居住する
者」というのが、移民に関する国際的な定義。
外国人労働力は、これをきっちり満たします。
なのになぜ、移民ではないと言い張るのか?
本当のことを認めると都合が悪いから、無理やり移民ではないことにしてい
る、そう受け取られても抗弁できた義理ではありません。
だが「移民」が入ってくるわけではないとすれば、「移民流入に伴う問題」
も起こるはずがない。
よって、それらの問題に対処する必要もないという理屈になります。
早い話、現実から目をそむけたまま国家解体への道を歩む次第。
戦後日本の平和主義の本質が「国家の否定」であることを認識し、そこから
脱却しないかぎり、この流れは止められません。
国家百年の計たる教育、とくに義務教育が揺らいでいるのは、国家そのもの
が揺らいでいる兆しなのです。