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【間もなく発足するデジタル庁】『データ駆動型の教育』でデータはどのように利用されるのか

第84回 学校と教員に何が起こっているのか -教育現場の働き方改革を追う-

デジタル庁


 「GIGAスクール元年」である本年9月に発足するデジタル庁。それに先駆け、教育分野ではいわゆるビッグデータを含む、様々なデータの収集、利活用が計画されている。気になるその中身、そして、そのメリットやリスクについて考えたい。


■教育現場におけるビッグデータ利活用がはじまる

 2021年4月からの新年度は、小中学校における1人1台端末の配備が進み「GIGAスクール元年」と呼ばれている。すぐにICTを活用した授業が実現できるわけではないだろうが、授業で端末を使わなければいけないというプレッシャーはどんどん大きくなってきている。
 しかし、配備された1人1台端末をどう使っていけばいいのか、迷っているのが学校現場の現状ではないだろうか。

 そうした中、各省庁のデジタル化を推進する司令塔としての「デジタル庁」を、9月1日に発足させるスケジュールが決まっている。それに先駆けて6月18日、「デジタル社会実現に向けた重点計画」(以下、計画)が閣議決定された。そこには、教育分野でのデジタル化も盛り込まれている。学校現場は、否応なしにデジタル化の波に飲み込まれようとしている。

「計画」には、「教育現場における学習者や教育者の日々の学習や実践の改善に資する教育データの利活用と、教育政策の立案・実行の改善に資する教育ビッグデータの利活用を、『データ駆動型の教育』の車の両輪として推進することが必要である」と述べられている。
 ここで使われている「データ駆動型の教育」とは、内閣総理大臣に教育改革を提言する政府の組織(内閣総理大臣の私的諮問機関)が今年6月3日に発表して第12次提言に盛り込んだ言葉である。そこには次のように書かれてある。

「これからの教育は、ICT を活用してデータ駆動型の教育へと転換する必要があります。これによって、学習履歴等の教育データを活用した一人一人に応じた指導や、子供の状況や発達段階に応じた対面指導と遠隔・オンライン教育とのハイブリッド化などが可能となり、学びの変革の推進が期待されます」

 そして、収集すべきデータについては、次のように示されている。

(1)児童生徒に関するデータ 学習履歴(スタディ・ログ)や生活・健康に関するデータ(ライフ・ログ)
(2)教師の指導・支援等に関するデータ(アシスト・ログ)
(3)学校・自治体に関する行政データ等

 ありとあらゆることをデータ化して、収集することが求められている。ということは、逆に言えばデータ化できないことは軽視されることになるのだろうか。

 

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前屋 毅

まえや つよし

フリージャーナリスト。1954年、鹿児島県生まれ。法政大学卒業。『週刊ポスト』記者などを経てフリーに。教育問題と経済問題をテーマにしている。最新刊は『ほんとうの教育をとりもどす』(共栄書房)、『ブラック化する学校』(青春新書)、その他に『学校が学習塾にのみこまれる日』『シェア神話の崩壊』『グローバルスタンダードという妖怪』『日本の小さな大企業』などがある。


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